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EUは未来を見つめる ブレグジットを見送った側の言い分

4/6(月) 7:02配信

47NEWS

 「僕のファミリーはバラバラになるの?」

 1月31日、7歳のシメオン君が心細そうにつぶやいた。パパは英国人、ママはベルギー人。家族は欧州大陸側のベルギーに住むが、親族や友人は英国にも多く、家族は頻繁に列車で海峡を渡るからだ。

 この日、英国がついに欧州連合(EU)を正式離脱した。ブレグジット(英国のEU離脱)は英国を大きく混乱させただけでなく、他のEU加盟国にもさまざまな影響を与えた。日本ではあまり報じられることがない「大陸側のEU市民」がブレグジットをどう見ていたのかについて伝えたい。(ブリュッセル在住ジャーナリスト=佐々木田鶴)

 ▽迷走

 そもそもブレグジットは始めから終わりまで、不可思議だった。

 まず、国民投票前に離脱派の政治家らが説いた公約に事実誤認が多く含まれていた。代表例が、大きな争点となった医療費財源や移民対策に関するものだった。

 ブレグジットにより、英国はEUへの分担金を支払う必要がなくなる。離脱派は浮くことになる週3億5千万ポンド(約480億円)を医療費に回すと繰り返し主張したが、実際に医療費へ回せるのは週1億ポンドと大幅に下方修正。同派の中心人物の英独立党ファラージ党首(当時)は国民投票直後に「間違いだった」と発言を撤回した。

 EU域内から英国に来る移民問題についても、離脱派は加盟候補国のトルコがEUに加われば大量の移民がやって来ると不安をあおり、EU離脱しか抑制の方法はないと声高に主張した。しかし、国民投票後、離脱派は「EU域内からの移民はゼロにならない」や「誤認がある」などとして、あっさりと〝修正〟した。

 離脱派に投票した人からは後悔の声が上がり、反対派は反発を強めた。英国議会も煮え切らない議論を繰り返すばかりで、方向性を打ち出せなかった。議会制民主主義が生まれた英国が見せた迷走ぶりにはあきれるばかりだった。

 ▽外敵

 離脱決定後から英国のボリス・ジョンソン首相は「フランスのチーズやドイツの車に高関税をかける」や「カナダと同程度の好条件をよこせ」と威勢がいい。だが、EUに加盟する27カ国は7年間にわたる次期予算の調整に大わらわで、脅しのようなメッセージに取り合っている余裕はないのが現実だ。

 為政者が外敵を作り出して「悪いのはあいつらだ」と指さすことで自身への支持を高めようとするのはどこの国でも見られる。アメリカがイランを、日本が北朝鮮を「敵」と見立てるように、英国の政治家はEUを格好の「外敵」に仕立てあげた。いつのまにか職場や地域に目立つようになった外国人(主にポーランド人やリトアニア人)を不快に思っていた英国の労働者たちは「悪いのはEUだよ」とアピールした離脱派とそれを巧みに利用した保守党に票を入れた。

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最終更新:4/6(月) 7:12
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