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市川由紀乃 次世代歌姫が伝える“艶” 新曲「なごり歌」

4/6(月) 17:32配信

産経新聞

 演歌歌手、市川由紀乃(いちかわ・ゆきの)(44)の魅力は“艶”である。8日発売の新曲「なごり歌」(作詞・吉田旺(よしだ・おう)、作曲・幸耕平(みゆき・こうへい)、キングレコード)は、昭和ムード漂う歌謡曲の匂いを織り込み、フォーク調メロディーで聴かせる。これまでの演歌の世界からガラッと一変させて、新たな世界観を生み出している。過去、挫折を味わった歌姫だからこそ、伝えられる“艶”とは…。(清水満)

 昨年、「雪恋華(ゆきれんげ)」で日本レコード大賞最優秀歌唱賞に輝いた。そんな演歌の王道から新世界への挑戦に戸惑いはない。演歌独特のこぶしが消えていた。力みなく、サラッと歌っている。

 「いままで私のオリジナルにはない作品。メロディーが先だったんです。最初に聞いたとき、“もう、好き”って思いましたね。何か、はかなさと優しさと最後に胸がキュンとなるような温かさを感じたんです」

 「なごり歌」の主人公の女性は、愛した人が突然いなくなり、月日が流れて別の人のところに嫁いでいくと決めた日、かつて愛した人が今も元気であることを知る。揺れ動く女心…。

 「昭和なイメージで、今の時代にはないセピア色がかっている。時代をタイムスリップできる作品です。男女2人の背景とか、2人の思い、主人公の女性の気持ちというのが自分の中にスーッと入りこんできた気がしたんです」

 曲と詩を同化させた。だから聴く者にごく自然と映像を浮かばせる。ただうまいだけではない。深みと幅の世界を創(つく)り出す。これが市川の“艶”である。

 17歳でデビューした。下積み生活が続いた。26歳の時、歌うことを止めてアルバイト生活。天ぷら屋で天ぷらを揚げたり、接客もした。時給は千円…。こんな挫折が逆に糧になった。

 「お金の大切さや人との交流、いろいろ学ばせてもらいました。でも歌が諦めきれなくて…」。30歳で再び活動を再開。元々歌のうまさには定評があったが、師匠・幸耕平との出会いによって奥深い情感を出せるようになった。

 「番組で人の歌を歌うとき、自己流だったんです。でも幸先生はカバー曲もレッスンする。自己流だと楽な方へと自分に甘くなる。レッスンでは半音高かったりするんですが、自己流と比べると格段にいい。私の良さを引き出してくれた。先生からは“聴いている側が心地いい方で歌手は歌わなければならない”って教えていただいた」

 歌い込んで消化して身につける。昨年7月に大阪の新歌舞伎座で座長公演をした。歌手・島倉千代子一代記の舞台だ。幼少期と、病に倒れた最後では島倉の歌唱はかなり違う。難しい設定にも、かつて島倉を担当していた音楽ディレクターは、「まるで島倉さんがそこにいるみたい」と絶賛していた。

 「偉大な方なので、そのブランドは傷つけてはいけない。かなり研究させていただきました」。そんな熱心さ、情熱が、いま歌唱に表現されているのだろう。

 世の中、コロナ禍でコンサートもキャンセル続き。「せめて皆さまとつながっていたい」と日々のブログ更新も欠かさない。手作り料理も披露する。母との2人暮らしで、「ハイ、44歳になりましたし、いつでも嫁に行けますようにって、アッハハハ…」。

 次世代演歌のトップランナー。いま旬である。

 ■いちかわ・ゆきの 昭和51年1月8日、埼玉県生まれ。本名は松村真利。平成5年デビュー。平成16、17年にNHK紅白歌合戦出場。令和元年、日本レコード大賞最優秀歌唱賞受賞。マイブームは吉本新喜劇。最近、健康のためバドミントンを始めた。

最終更新:4/6(月) 17:32
産経新聞

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