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靱帯切っても立ち上がる…札幌・深井がたどり着いた境地

4/6(月) 7:02配信

道新スポーツ

道スポ企画【逆境を乗り越えよう】2

 特別企画「逆境を乗り越えよう」の2回目は北海道コンサドーレ札幌MF深井一希(25)。プロ入り後、前十字靱帯(じんたい)断裂を、3度経験。全治9カ月と言われ、1度でも選手生活を脅かされる大ケガだが、幾度も乗り越え、たどり着いた境地とは|。不屈の男が、困難を克服した経験を振り返った。(聞き手・石栗賢)

 「僕にとっての逆境はケガが多かったこと。初めての時は自分も周囲もびっくりという感じだったけど、2、3回目は自分よりも周りのショックの方が大きくて。僕が元気に強く戻ることで、どれほどの人が喜んでくれるのか、1度目で分かった。そのためにリハビリを頑張った」

 ”深井の選手生命は終わりだ”。手術を繰り返し、心ない声も届いた。
 「そういう思いは僕になかったが、友達を通して『大丈夫なの?』という声や、SNSでも目にした。見返してやろうと思って。前十字靱帯断裂は1回でもかなりショックなけが。何度も乗り越えて自分が活躍することで、そういう人たちに少しでも元気を与えられる存在になっていけたら、と思っている」

 雑音をはね返し、同じくケガからの復帰を目指す人の希望になった。でもまたケガをしたら…。深井は「そのときはそのときだ」と割り切っている。その境地とは。
 「チームが勝つことを第一にプレーしているということ。チームのために体を張って、もしそれでケガしようが、またリハビリを頑張るだけ。そのプレーでチームを救えるかもしれないから」

 困難を乗り越えるたび、精神的にもたくましく、優しくなった。
 「昔は自分だけいいプレーをしていればいいやというタイプだったが、今はサポーターや家族、友達、チーム、いろんな人の支えを感じている。恩返しのためだけに今はプレーしている。『ケガをしていなければもっとレベルアップできたかもしれない。そうだったらどうなっていたのだろう』と、たまに考える。でも今もサッカーを楽しめている。去年も大舞台で元気な姿を見せられた。ケガに後悔はしていない」

 サポーターは深井を「不屈の男」と呼ぶ。
 「恥ずかしい感じはありますよね。そんなに強くないぞ、と。でもサッカーが好きなので復活するしかない。みんなそう、その経験がたまたま自分だっただけ。みんな乗り越えられると思う」

 公式戦再開はいまだ見えず。新型コロナウイルスが世界中を苦しめている。何度もはい上がった深井の経験は、私たちに苦境を生き抜くヒントをくれる。
 「生きていく上でそういうことは起こりうるので、どう乗り越えるか。一人ではどうにもできない。厳しいのは一人じゃないと思ってほしい。自分だけ苦しんでいると思わず、みんなで助け合いながら。時には人の力を借りることも大事。僕たちもどうなるか分からない毎日だが、やれることをやる。ともに前を向いて頑張っていきましょう」

■プロ1年目は左膝 2年目は右膝と半月板損傷も

 深井は2013年に札幌U―18からトップ昇格。その後、5年半のうちに左膝2回、右膝1回、前十字靱帯断裂を経験している。1度目はプロ1年目の13年11月に左膝。復帰して1カ月後、14年8月に逆足の右膝前十字靱帯断裂と半月板損傷を負った。3度目は17年4月。再び左膝を故障した。
 3度の大ケガを克服し、ペトロビッチ監督1年目の18年は28試合に先発出場し、シーズンを完走。この年、90分間のフル出場は2試合にとどまったが、翌19年は33試合出場でフル出場も20試合に大幅増。ケガのイメージを見事に払拭した。

最終更新:4/6(月) 7:02
道新スポーツ

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