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若者だけが悪いのか? 感染防止対策めぐり世代間断絶を危惧する声

4/6(月) 19:10配信

THE PAGE

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策をめぐって、一部から世代間の断絶を危惧する声が上がっています。政府や自治体からは若者に対して行動を自制するよう求める発言が相次いでいますが、広範囲にウイルス感染が拡大している状況では、特定の属性の人に自制を促すというのは科学的な根拠に基づくものとはいえません。一部からは、特定の属性の人の行動を抑制すれば、感染拡大を防げるという発想そのものが、甘いとの指摘も出ているようです。

 小池都知事は3月25日に開いた会見で、「すでに感染をしていながらも、若い方は体力があり、行動力がある方々が、自分自身が感染している自覚がないままあちこち活動される」と述べ、特に若者に対して不要不急の外出を控えるよう呼びかけました。30日に行った緊急記者会見でも、中高年についても言及しつつも、「特に若者にはカラオケ、ライブハウスにいくことは、当面、控え、自粛して頂きたい」と行動の自制を求めています。

 また政府の新型コロナウイルス専門家会議も、特に若者に対して「ライブハウス、カラオケBOX、立食パーティー、自宅での大人数の飲み会など、人が集まる風通しの悪い場所は避けて欲しい」といった呼びかけを行っているほか、識者からも相次いで若者に対して自制を求める意見が出ています。

 確かに、一部の若者が活発に活動し、それが感染を拡大する可能性は否定できませんが、そもそも現状の日本政府は検査を広範囲には行っておらず、社会にどの程度、感染が拡大しているのか科学的に追跡できない状況にあります。しかし、患者数の増加ペースなどから考えた場合、すでに広範囲に感染が広がっていると考えるのが妥当でしょう。

 そうなってくると、特定の人だけが感染を拡大させているわけではありませんから、一部の人に自制を求めるというのは、科学的な根拠が薄くなります。一方で、感染リスクが高いと考えられている高齢者が、商店街に出かけるなど、矛盾した状況も観察されています。

 さらに言えば、国民に対して活動の自粛を求めていながら、首相夫人は芸能人と会食をしているという状況ですから、一部の若者がこうした風潮に反発し、自粛を行わないのも無理はありません。また知事や首相の「緊急会見」が何度も行われ、毎回、新しい情報が出てこないということになると、こうしたメッセージの効果は着実に薄れてきます。

 感染症は相手が見えませんから、その対策について考える際には、抽象的な思考が必要となりますが、こうした思考が苦手な人は、特定の誰かに原因があると考えがちです。こうした非常時に社会の分断が発生することには、何もメリットがありませんから、政府や自治体がメッセージを表明する場合にはもっと工夫が必要でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:4/6(月) 19:10
THE PAGE

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