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ホンダとトヨタ、「燃費」と「心地よさ」で激突

4/6(月) 18:02配信

ニュースソクラ

ホンダ新型「フィット」発売 トヨタ「ヤリス」など、ライバルとの違いは?

 ホンダが4代目となる新型「FIT(フィット)」を2月14日に発売した。連日、大量に投入されるテレビCMや新聞・ネット広告などを見ても、ホンダが新型フィットに先代以上に力を入れていることがわかる。

 それはトヨタ自動車が、このクラスの小型車(コンパクトカー)では最大のライバルとなる新型「ヤリス」(旧名ヴィッツ)を2月10日に発売しているからだろう。自動車雑誌や自動車専門のニュースサイトは、ヤリスとフィットというライバル2強の登場を詳しくレポートしている。

 トヨタとホンダの看板車種が同時にモデルチェンジするのは珍しい。それには理由がある。ホンダは2019年8月にモデルチェンジした軽ワゴン「N-WGN」の電動パーキングブレーキに不具合が見つかり、生産を一時停止した。同様のパーキングブレーキを採用する新型フィットも影響を受け、発売が当初予定の11月から2020年2月にずれ込んだのだ。

 ホンダによると、4代目の新型フィットは「歴代のモデルで継承されている広い室内空間や使い勝手のよさはそのままに、グローバルで通用する新しい時代のコンパクトカーのスタンダードを目指して開発した」という。

 ホンダは新しいクルマづくりの考え方として、数値では表せない「感性価値」を追求し、視界、乗り心地、座り心地、使い心地の4つの「心地よさ」を実現したという。ユーザーのライフスタイルに合わせ、ベーシック、ホーム、クロススターなど5つのタイプを用意。それぞれにガソリンエンジン車とハイブリッド車がある。

 新型フィットのハイブリッド車の特徴は、今回からアコードなどホンダの上級車と同様、普段はエンジンを発電に使い、モーターで走行する「シリーズ式ハイブリッド」になったことだ。日産も「ノートeパワー」などでシリーズ式ハイブリッドを採用しているが、日産が常時モーターで駆動するのに対し、ホンダは高速域ではモーターではなく、エンジンの動力を直接タイヤに伝える点が異なる。

 市街地を電気自動車のようにモーターで走るのは効率がよいが、高速道路ではモーターが高回転となるため電池の消費が激しく、非効率になる。高速域ではモーターを使わず、エンジンの動力を直接タイヤに伝えた方が、燃費がよくなるという。

 これに対してトヨタは、今回のヤリスも含め、エンジンの動力をタイヤに伝え、モーターも組み合わせて走る「パラレル方式」と呼ばれるハイブリッドだ。日産のシリーズハイブリッドが高速域で燃費が不利になるのに対し、高速域で制御を変えるホンダフィットのハイブリッドは、同社の技術力の高さを証明している。

 では実際の燃費はどうか。フィットとヤリスのカタログ燃費を最も数値のよいハイブリッドモデルで比較すると、フィットのリッター当たり28.8キロ(WLTCモード、国土交通省審査値)に対し、ヤリスは36.0キロ(同)だ。フィットがエンジン動力をタイヤに直接伝える高速道路の燃費で比較しても、フィットの27.0キロに対し、ヤリスは33.4キロと、いずれもヤリスが上回る。

 トヨタが「電気系、機械系損失を大幅に低減し、ハイブリッドで世界トップレベルの低燃費を実現した」と語るだけあって、カタログ燃費を比較する限り、ヤリスに一日の長がある。

 この燃費の差は、両社の宣伝にも表れている。トヨタがヤリスの燃費の良さを「世界トップレベル」とカタログやホームページで大きくアピールしているのに対して、燃費に対するホンダの表記は控えめだ。代わりにホンダはフィットの視界など「心地よさ」をアピールしている。

 奇しくも同時期にデビューしたヤリスとフィット。このクラスは国内では日産マーチやマツダ2(旧名デミオ)、スズキスイフト、三菱ミラージュなどライバルがひしめく激戦区だ。この中で開発年次の古いマーチやミラージュなど、もはやヤリスやフィットの敵ではあるまい。

 3月は高校や大学を卒業して地方などに就職する社会人が初めての愛車として、コンパクトカーを選ぶ時期でもある。果たしてユーザーの心をつかみ、このクラスを制するクルマは何か。市場の評価が気になるところだ。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

最終更新:4/6(月) 18:02
ニュースソクラ

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