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「不要不急」と言われた博物館長の胸の内「社会のおまけじゃない」 問いかける「ものを考える場所」とは?

4/9(木) 7:00配信

withnews

新型コロナウイルスによって使われるようになった言葉に「不要不急」があります。真っ先に挙げられた施設の一つが美術館や博物館です。在宅ワークやオンライン会議などが推奨される中、実際に足を運んでもらうことで成り立っていた場所で働く人はどんな思いでいるのでしょうか? 「命を守ることは当然であり、休館再開のめどがたたないことは了解しています。その上で、みんな、自分で考えなくなっているのが気がかりです」。誰も来なくなった館内で取材に応じてくれた日本新聞博物館の館長、尾高泉さんに緊急事態宣言が出る前の3月30日に話を聞きました。(withnews編集部・奥山晶二郎)

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「不要不急の用事に……」

日本新聞博物館は、集団感染が起きた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が停泊していた横浜港の近くにあります。

「2月のはじめごろ、休憩中に桟橋から船をよく見ていました。身近ではありましたが、その頃はまだ、ひとごとという感じでした」と振り返ります。

その後、事態は急速に動き出します。

全国各地でイベントが次々と中止。決定的だったのが2月26日の首相によるスポーツや文化イベントの開催自粛と、27日に出された臨時休校の要請でした。

この間、尾高さんは企業博物館でつくる産業文化博物館コンソーシアム(COMIC)や、神奈川県企業博物館連絡会を通じて、各地の状況や対応について情報を集めていました。

そして、2月28日、日本新聞博物館は臨時休館を発表します。

当時の心境について尾高さんは「博物館や美術館を訪れることが、不要不急の用事になってしまうというむなしさはありました」と吐露します。

「まず、生活を保障しないと」

日本新聞博物館では派遣会社からのスタッフ、警備員、ボランティアまで多くの人が働いています。休館の際には、職員全員の意見や派遣スタッフの希望も聞いて、考えられる問題などを話してもらったそうです。

まず心配したのが働いている人の生活です。

「多くの美術館や博物館では、指定管理者制度が導入されたり、時間給で働く人たちが増えたりしています。当館は違いますが、学芸員も非正規という施設がたくさんある。それが日本の文化事業の実態なのです」

博物館に限らず、臨時休業を余儀なくされた店舗や施設では従業員の給与の支払いが問題になっていました。

「まず、生活を保障しなければいけない。全国の博物館とのネットワークを通じて情報交換をしながら、通常とは違う、バックヤードでの作業を提案するなどして、希望者にはそういう仕事をして、休館前と同じ給与を払えるような仕組みを考えました」

※日本新聞博物館では非常事態宣言の直前から、職員も在宅勤務と併用し、時間給のスタッフは法定6割補償の休業に入ってもらっている。

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最終更新:4/9(木) 7:00
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