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業歴62年老舗家電卸「カツデン」先が見えず自ら廃業を選択

4/7(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【コロナ感染恐怖 倒産の現場】#1

 中堅の家電製品卸「カツデン㈱」(東京・江戸川区)が今月17日で営業を終了する。その情報を得て先月26日、坂田雅敏社長を取材すると、苦渋の表情を浮かべながら廃業手続きに入ることを認めた。

 カツデンは1958(昭和33)年、アルミ製テレビアンテナの製造販売を目的に創業し、業歴62年を数える老舗の家電卸である。家電商社的な位置づけで、家電調理器具・音響機器・季節商品・家電製品など幅広く扱い、大手家電量販店や地元の家電小売店など約200社と取引していた。ピークだった1993年3月期の売上高は、78億8800万円。東京でも中堅クラスに成長した。

 だが、大手家電量販店の急成長期に入ると様相が一変する。それまで取引のあった大手家電量販店は独自の仕入れルートを築き、カツデンとの取引量を縮小、主力取引先だった家電小売店も家電量販店の勢いにのみ込まれていった。こうして直近の2019年3月期の売上高は15億7200万円とピーク時の5分の1まで減少。3400万円の赤字を計上し、2期連続の赤字決算となった。

 コロナ禍が広がった今年2月、坂田社長はこれ以上事業を継続しても経営体力がそがれるだけと営業休止を決意し、廃業に向けた手続きに入ることになった。

 坂田社長は「17日の商品発送を終えたら、廃業の手続きに入る。従業員は5月末をめどに退職してもらう。取引先には迷惑をかけることはない」と、新型コロナウイルスの影響を否定し、「(営業終了は)私の経営力のなさに尽きる」と語った。

 しかし、コロナ拡大とは無縁ではないだろう。政府は外出自粛を要請している。小売店にとって命綱といえる来店客が強制的に断ち切られている。

 政府は新型コロナ対策として中小企業向けの資金繰り支援を打ち出すが、そもそも返済が難しい経営不振の企業は倒産より休業・廃業を選択する可能性もある。

 先の見えない新型コロナの感染拡大は、これまで顕在化しなかった中小企業の内面を浮かび上がらせる。経営者から事業意欲を奪い、解雇された従業員からは収入源を奪う。

 このままでは取引先に連絡せず営業を休止し、実質的な倒産状態のまま中ぶらりんの企業が増える可能性もある。=つづく

(東京商工リサーチ情報部)

最終更新:4/7(火) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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