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『グリース』アイドル的スターの誕生と、大ヒット舞台ミュージカルの映画化が重なった奇跡

4/7(火) 19:05配信

CINEMORE

小劇場からブロードウェイ進出で驚異のロングラン

 日本を含め、世界的な「ディスコ」ブームを起こした、1977年の『サタデー・ナイト・フィーバー』。「ステイン・アライブ」などビージーズのサウンドトラックはもちろん、主人公トニーを演じたジョン・トラボルタの、それまでのスターのイメージを壊すような、いい意味での「個性的」なルックスが強烈な印象を与えた。

 1976年の『キャリー』にもメインキャストの一人として出演していたトラボルタだが、それほど目立っていたわけではないので、『サタデー・ナイト・フィーバー』での登場は、文字どおり、センセーショナルであった。

 そのトラボルタが早くも、翌1978年に「踊るスター」として主演を飾ったのが『グリース』である。『サタデー・ナイト・フィーバー』での白いスーツに襟の大きな黒いシャツもインパクト大だったが、黒い革ジャンに、タイトルどおりグリースでピチピチに固めた髪という、『グリース』の1950年代ファッションは、『サタデー・ナイト・フィーバー』とのギャップもあって、当時、斬新だった。

 正統派イケメンというわけではないうえに、『サタデー・ナイト・フィーバー』に続いての衝撃的なまでの「腰」の動きで、トラボルタの人気は日本でもアイドル的にヒートアップする。

 オリジナルのミュージカル「グリース」は、1971年6月、シカゴの小劇場で幕を開けた。この作品に目をつけたプロデューサーが翌年、NYのオフ・ブロードウェイで「グリース」を上演。たちまち評判となり、ブロードウェイで3388回というロングランを記録。1977年には日本でも上演された。

 ここまで人気を呼んだので、ミュージカルに詳しい人にとって『グリース』の映画化は「当然」の流れでもあった。一方で『ウエスト・サイド物語』(61)のように、1960年代、ブロードウェイからの映画化で傑作が続いたブームは、1970年代、大ヒット作が減少していたため、『グリース』は久しぶりの期待作でもあったのだ。

 では、映画『グリース』は、舞台版の忠実な再現なのか? これがかなり違っている。オリジナルの舞台版は主人公のダニーやサンディー、仲間たちが同窓会に集まって、卒業の年を回顧するという設定。作品全体にノスタルジーが漂っている。一方の映画版は、『避暑地の出来事』(59)にオマージュを捧げた海辺のオープニングから、主人公たちのハイスクール時代のみにフォーカス。1950年代を舞台にした、徹底的に明るい青春映画というノリを貫く。

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最終更新:4/8(水) 9:51
CINEMORE

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