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「現美だけは」左手で出品 金沢の洋画家大丸さん、利き手痛めても

4/7(火) 2:13配信

北國新聞社

 金沢市の石川県立美術館と金沢21世紀美術館で開催中の第76回現代美術展(一般財団法人県美術文化協会、北國新聞社など主催)に格別の思いを持つ美術作家がいる。洋画家の大丸(だいまる)七(なな)代(よ)さん(71)=金沢市野町2丁目=は画業50年のスタートが現美だった。今回は酷使した利き手が思うように使えない中「育てていただいた現美だけは出さないわけにいかない」と左手で執念の力作を仕上げた。

 「大ちゃんって呼んでくださいね」。6日、県立美術館の洋画の展示室には、人懐っこい笑顔で来場者に自作を紹介する大丸さんの姿があった。「これ、ほとんど左手で一生懸命描いたの。利き手で描いたのとあんまり変わらなくて、ショックやったわ」。冗談めかして周囲を和ませる。

 右手が腫れ、痛み始めたのは、2017年の現美で夢だった美術文化大賞に輝いた後から。整形外科にかかり、リハビリを続けているが「手がちぎれるかと思うほど」の痛みの日もあり、思うように使えない。3月上旬には画業50年の個展もあり、忙しい中でも何とか現美に間に合わせた。

 金沢美大4年で現美に新入選してから半世紀、大丸さんの画業は現美とともにあった。一般で最高賞を獲った20代半ばの現美で、恩師である竹沢基、円地信二両氏の間に自作が展示された時は、跳び上がって喜んだ。「若手でもいい絵を描いていれば、きちんと評価してもらえる。現美に励まされてきた」と振り返る。

 今回の出品作「わたしのデベットじいさん」は、当たり前の日常がいかに幸せかをかみしめながら描いた。「思うように仕上がらずに恥ずかしいけれど、こんな時期だからこそ自分の絵を見て気分転換になる人がいれば、こんなにありがたいことはない」と、とびきりの「大ちゃんスマイル」を見せた。

 現代美術展は13日まで。委嘱と一般合わせて6部門の1100点が展示されている。県立美術館は洋画、工芸、写真、金沢21世紀美術館は日本画、彫刻、書の会場となっている。入場料は一般1千円、高校・大学生600円、小中学生500円。開場時間は午前9時半~午後6時となる。

北國新聞社

最終更新:4/7(火) 2:13
北國新聞社

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