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美しきF1マシン「2年半にわたって走った”多彩”な経歴を持つ1台」ティレル020

4/8(水) 19:11配信

motorsport.com 日本版

 現在のF1に通ずるハイノーズ、その始祖と言えるのが、1990年にティレルが走らせた019である。このティレル019はジャン・アレジと中嶋悟が駆り、印象的なシーンを幾度も見せた。今も名車として語り継がれる1台である。

【F1マシンギャラリー】ティレル020シリーズ:1991~1993年

 そしてこの019の後継である020は、特異な経歴を持つ1台と言ってもいいだろう。

 019から引き継がれた、アンヘドラルウイングと呼ばれるハの字型のフロントウイング。ノーズも高く持ち上げられ、フロア下に乱れの少ない気流を送り込み、ダウンフォースの増加を目指した。キープコンセプトと言うことができよう。そこに、前年までのコスワースDFRに代わってホンダV10を搭載。このホンダV10は、前年マクラーレンが使いチャンピオンを獲得した際のエンジンの発展形であり、そのパッケージには開幕前から期待が集まった。

 開幕戦アメリカGPでは、ステファノ・モデナと中嶋悟がダブル入賞。モナコではモデナが予選2位となり、カナダではやはりモデナが2位表彰台を手にした。ただその後は日本GPでモデナが6位に入っただけ。当初の期待とは裏腹に、新チームのジョーダンに先行され、ランキング6位でシーズンを終えた。

 不振の原因は、パッケージとして見た場合にホンダV10では重すぎたことや、履いたピレリタイヤのパフォーマンス不足などと言われていた。

1992年:ティレル020B

 ただこの020はこれだけでは終わらなかった。チームは翌年も改良版シャシー020Bを使用。カラーリングを一新し、イルモアのV10エンジンを搭載した。この1992年、アンドレア・デ・チェザリスとオリビエ・グレイヤールのコンビで戦い、グレイヤールこそ無得点だったものの、チェザリスが4度の入賞を果たし、前年同様のランキング6位となった。

1993年:ティレル020C

 それだけではない、チームは翌1993年にもこのシャシーを使ったのだ。ドライバーにはグレイヤールに代わって、F1で2年目のシーズンを迎えた片山右京が加入。エンジンもヤマハのV10を搭載した。しかし2年型落ちのマシン。片山曰く、この年に走らせたマシンのモノコックは、中嶋が1991年に使ったモノコックそのものであり、マシンの剛性も既に不足していたという。当然戦闘力は芳しくなく、1度の入賞も果たすことはできなかった。

 第9戦イギリスGPからは新型マシン021が投入されたが、このマシンも戦闘力は低く、結局1993年のティレルは無得点だった。

 ただ1990年代以降で、3年にもわたって使われたマシンは、他にあまり例を見ない。しかもこの間、020はホンダV10、イルモアV10、ヤマハV10と3種類のエンジンを搭載。無限ホンダV10のテストに使われたこともあった。またタイヤもピレリ、グッドイヤー、グッドイヤーのナロータイヤ、ブリヂストン (無限ホンダのテスト時)と4種類も履いているというのも特筆すべき部分だろう。

 なお1990年に登場したロータス102も2年半にわたって使用されたマシン。その間、ランボルギーニV12、ジャッドV8、いすゞV12(テストのみ)、フォードHB V8と、やはりこちらも多彩なエンジンを使った。

最終更新:4/8(水) 19:11
motorsport.com 日本版

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