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上野のバッグ販売店主は日本人客の振る舞いに心が折れた

4/8(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【コロナ感染恐怖 倒産の現場】#2

「2月に入ったら上野から外国人のお客さまがパタッと消えた。それで、もう続ける気も起きなくなった。外国人客は最後の頼みだったのに、彼らもいなくなって先が見えない状態」

 世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響は、国内有数の観光地である上野の街を早い時期から直撃した。

 上野で焼き甘栗を90年以上販売する老舗が、先月末の廃業を決めた。創業時は甘栗を中心に扱っていたが、若者の嗜好変化で売れ行きが落ち、近年は観光客やビジネスマン向けのバッグ販売で売り上げを維持していた。

 だが、頼みの綱だった外国人観光客による売り上げが2月上旬以降、バッタリ落ちた。女性店主は「1日40万円の売り上げがあれば、そのうち日本人客の売り上げは5万円ほど。残りは訪日外国人だった。2月以降は日本人客の売り上げしか立たなくなった」と嘆いた。店の売り上げの7割以上を外国人観光客に依存していたのだから、ひとたまりもなかった。

 いつまで続くかわからないコロナウイルスの影響が、店主や従業員の気持ちを曇らせていく。続けるべきか、辞めるべきか。店主は苦悩の日々が続いたが、廃業を後押ししたのは、近年、従業員らを悩ませていたマナーの悪い日本人客の振る舞いだった。

■インターネット購入前の品定めをする客

「ここ数年は、ネットで安く買うために店に現物を見に来て、商品の中身を開けるだけ開けて写真を撮って帰る。そんなお客さんがすごく増えた」と語る。こういうお客は、ほとんどが日本人だという。

「外国人は、旅行中に使うバッグを買いに来るケースがほとんど。でも、日本人はネットや他の店と比べて少しでも安く買おうという人がいっぱいいた。店員が強く出られないのを分かっていて、(フリマ)アプリの画面を開きながら、中の詰め物を出している人もたくさんいた。注意もしにくいし、悔しかった」と心情を吐露する。

 廃業を公表した先月中旬以降、常連客からは「寂しくなるね」「もっと続けてよ」と励ましの声も少なくなかった。ただ、「マナーの悪い人も増える中で、新型コロナもあって先の見えない状態で商売を続ける気力が失せてしまった」という。

 長年、商店経営者らの悩みのたねであったインターネット購入前の品定めに、新型コロナウイルスが重なり、廃業を決めた。同じ悩みは上野だけでなく、全国各地で当たり前にみられる光景だ。この現象が今後、どこまで波及するのだろうか。(つづく)

(東京商工リサーチ情報部)

最終更新:4/8(水) 11:23
日刊ゲンダイDIGITAL

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