ノーベル生理学・医学賞受賞学者の山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長・教授が、新型コロナウイルス問題で立ち上げたホームページ(HP)でこのほど「5つの提言」を発表した。山中氏はこれまでも「自分は感染症の専門家ではないが」としつつも自らの危機感からメディアでも発言してきたが、今回提言の形で考えをまとめた。この中でPCR検査について早急な検査体制の拡充を強く求めている。
山中氏はiPS細胞(人工多能性幹細胞)の生みの親で、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞。現在、京都大学iPS細胞研究所の所長を務めているが、新型コロナウイルス感染症が世界に広がって深刻な事態になったことを受けて3月中旬に「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」と題し、1人の医学研究者としての立場からの発信と断わりながらHPを立ち上げた。HPの冒頭「新型コロナとの闘いは短距離走ではなくマラソン」と強調、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザとの違いや関連論文などが示す新型コロナウイルスの特徴などについてコメントしている。
8日現在のHPによると、提言1は「今すぐ強力な対策を開始する」。「新型ウイルスが日本にだけ優しくしてくれる理由を見つけることはできない」と指摘し、「感染者の急増はすでに始まっていると考えるべき」と厳しい現状に目を向けて、強力な対策が必要だと説いている。
提言2は「感染者の症状に応じた受入れ体制の整備」。既に政府や東京都などが方針を示しているが、重症者の治療を確保するために、無症状や軽症の感染者は、病院でなく専用施設で経過観察できることを改めて推奨。ストレスの軽減も大切であることを強調している。
今回の5つの提言のうち特に注目されるのが提言3の「検査体制の強化」だ。「提言2の実行が前提」とした上で「これまでわが国は、無症状や軽症の感染者の急増による医療崩壊を恐れ、PCR検査を限定的にしか行ってこなかった」との見解を明確に示した。そして「感染者数を過小評価すると、厳格な対策への協力を得ることが難しくなる」などと指摘した。また検体を採取する医療関係者には2次感染の危険が伴う、として安全な検査体制を求めている。
最終更新:4/8(水) 18:59
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