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静岡市のメーカー、焼失した首里城の木製模型販売…沖縄出身者の言葉に背中押され

4/8(水) 9:20配信

静岡朝日テレビ

 静岡市の模型メーカーが、去年火災で焼けてしまった沖縄県の首里城の木製模型を販売し始めました。構想は11年前。皮肉にも発売への扉を開いたのは、あの日の火災と沖縄出身者のある言葉でした。
 
 去年10月31日。沖縄のシンボル、首里城が炎に包まれ、沖縄はもとより日本中が喪失感に駆られました。

木製模型メーカー「ウッディジョー」常木則男社長:「燃えていくときに、柱が、全部の柱が残って、え、なにこれ。日本の城は鉄砲とか矢がカバーできるように壁で守っていたのが、首里城は全く壁がない、ああ、これか」

 首里城正殿の木製模型。静岡市に拠点を構える木製模型メーカーの老舗、ウッディジョーが3月4日に発売を始めました。模型は実物の1/150の大きさで、屋根や柱、外壁などが細部にわたり木製パーツで再現されています。社長の常木則男さんが首里城に注目したのは今から11年前に行った沖縄旅行でした。入手した首里城の図面を参考に、キットの開発を始めようとしました。しかし、首里城に用いられていた独特な建築に不明な点があり、これまで手掛けてきた日本の城のようには進みませんでした。

常木社長:「もう1回(首里城に)行かなくてはだめかな、と思っていた矢先に火災になってしまって、本当にびっくりして、まさかあんなことになるとは思わなかった」

 しかし、すべての壁が焼け落ちる首里城の姿は、皮肉にも今までどうしても分からなかった構造を明らかにしたのです。

常木社長:「柱だけが、どの柱も全部、1階2階も残っていて、屋根も残っていて、そこで大きな火が燃えている」

 首里城の外壁は漆喰(しっくい)などで造られた強固な壁ではなく、木の板で作られていました。思わぬ形で大きなヒントを得た常木さんでしたが、一方で脳裏に火事場泥棒や便乗商売という言葉がよぎったといいます。

常木社長:「人の弱みに付け込んで商売したらいけないと、父からも教えられたので、もうそれはできないと」

 常木さんは一旦、首里城の模型を諦めましたが、数日後、ある人の言葉に背中を押され、考えを改めました。それは沖縄県出身の親族の言葉でした。

親族の五条洋子さん:「いやいやいやと何度も言われましたが、お願いお願い絶対沖縄の心だし、是非ともお願いしたいよと、話を押したんです」

 沖縄の心。この言葉に背中を押された常木さんは開発を再スタート。模型の売り上げの一部を沖縄県に寄付すれば、再建を後押しできる。そして存在感のある模型を見れば元気を出してもらえると、細部にまでこだわりキットを完成させました。

開発担当 増田好彦さん:「軒瓦の部分なんですが、設計当初は入っていなかったが、どうしても社長が今回は必要だと、部品的には製作するのに難しいパーツなんですよ」

 薄いシート状の板は高精度のレーザーカッターで切り抜かれ、精密なパーツが再現されています。発売開始から約1カ月。この模型をきっかけに沖縄や首里城に関心を持った人も多いといいます。

焼津市から来た70代:「首里城は実際に行ったことはないのですが、どういうふうになっているのかなと思い、初めて伺いました。いずれ作ってみたいと思っている」

 模型の価格は2万8000円。すでに150個余りが売れました。

常木社長:「再建は何年かかるか想像がつかないが(模型を)作ってもらって、自分の家の棚に置いて、ああ首里城、いつも忘れないように、再建にみんなで向かって行こうとするのが良いと思う

 沖縄の心、首里城。この再建を応援する取り組みが模型の街・静岡からも、一歩ずつ進んでいます。

最終更新:4/8(水) 13:01
静岡朝日テレビ

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