最近、自分の不運を誰かのせいにすることで、自分をストレスから守ろうとする人が増えているといわれています。
虐待やいじめのように、ひどい扱いを受けてしまった人が「親のせい」「友だちのせい」と他責感を持つのは無理もないことかもしれません。
しかし皮肉なことに、本当にひどい被害を受けている人ほど、「私が悪いからだ……」と自責感にかられてしまい、逆に恵まれた状況に置かれている人ほど、不運の責任を他人や社会に求めてしまう。そんな矛盾も数多く生じているようです。
他責感が強くなると、事実に即した冷静な自己分析ができなくなります。たとえば、「こんな親から生まれなければ、もっと成功できたのに」「自分がうまくいかないのは、この学校のせいだ」、このような口ぐせが多い場合、「自分は悪くない」という自己中心的な信念に囚われているものと考えられます。
自己中心的な人が増えていることには、複数の要因があると考えられます。その一つに、少子化の影響から親や祖父母から愛情を一身に受け、甘やかされて育っていることの影響が挙げられるでしょう。
記念日には抱えられないほどのプレゼントや大金をもらい、希望を言えば叶えられる……。こうした状況が当たり前になると、日々受けている恩恵への感謝の念を持ちにくくなります。欲しいものは自分の努力で手に入れるもの、という思いも持ちにくくなります。
また、幼いころから「特別扱い」を受けて育つことも、自己中心的な考え方に影響します。「私は特別だから、周りの子と足並みをそろえなくてもよい」……このような状況が許されていると、成長するごとに「自分は特別だ」という思いが強くなってしまいます。
もちろん、そうした子も社会に出れば、特別扱いが通用しない現実を知るでしょう。そのときに現実を受け入れられず、社会に適応できなくなってしまう方もいます。
自己中心的な考え方は、自分を守る盾になります。「自分は悪くない、他人や社会が悪いのだ」と思うことができれば、自分の責任を感じずに済みます。しかし、その考え方が強すぎると、心のトラブルにつながっていくこともあるのです。
一つは、自己愛性パーソナリティ障害と呼ばれる心のトラブルです。これは自分が特別で賞賛に値する人物だと思いこみ、他人への共感性に乏しく、自分の利益のために他人を利用し、傲慢な態度で他人に接したりするパーソナリティ(人格)の障害です。
また、いわゆる「新型うつ病」と呼ばれる心のトラブルも深刻です。うつ病は真面目で几帳面、自責感が強いタイプの方に生じやすい心の病といわれていますが、仕事には取り組めないが趣味には熱中し、自分がうまくいかない状況の責任を他人に求めて抑うつを深めていくのが、「新型うつ病」と呼ばれるタイプの心のトラブルです。
うつ病は、基本的に薬物療法を続けながらゆっくり休養をとり、自分を責めるなどの考え方を楽なものに変えていくいくことで回復していきます。
しかし、新型うつ病と呼ばれる心のトラブルの場合は、この方法では改善が望めないといわれています。むしろ、常識を教えたり、規律のある生活に慣れさせたりして、自己中心的な考え方を変えていく方法がとられます。
しかし、こうしたアプローチも本人がそれを必要だと思わないかぎり、なかなか功を奏しません。
最終更新:4/8(水) 21:15
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