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新型コロナ禍が暴き出した、首相と記者クラブの「蜜月」

4/9(木) 18:30配信

アーバン ライフ メトロ

記者の質問は、あらかじめ官邸に伝えられていた

 内閣記者会(首相官邸に常駐する新聞・テレビ・通信社などの記者らでつくる記者クラブ)と首相とは、長らくなれ合いの関係にあると指摘されてきましたが、確固たる証拠がないために、その「蜜月」は公然の秘密として語られてきました。

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 しかし、記者の質問する内容が、記者クラブを通じて首相官邸側にあらかじめ伝えられていたことが、最近になって判明したのです。

 記者から質問を事前に知っていれば、首相は答弁内容を事前に用意することができます。つまり、首相会見は作成した原稿を読み上げるだけの場になっていたのです。

 入試に例えれば、事前に正解を教えてもらっていたということになります。入試なら、不正によって合格取り消しの措置で終わりますが、国家・政権運営はそれだけでは済まされません。

 首相会見を見た国民は、そこから首相が何を考え、どういった政策を進めようとしているのかを知ることになります。国民の知る権利を果たす最大の場なのです。首相会見は単なる儀式ではありません。

 内閣記者会と首相の「茶番劇」が判明したのは、2020年3月2日(月)の参議院予算委員会のことでした。この日、質問に立った蓮舫参議院議員が首相会見の質問についてただしています。

 2日前の2月29日(土)、安倍晋三首相は記者会見を実施。新型コロナウイルスへの対応や、自身の考えを述べました。その後、内閣記者会の記者たちからの質問にも回答しています。

「次の予定がある」打ち切られた会見

 新型コロナウイルスという未知なる病気との戦いには、国民の誰もが不安を抱えています。あれこれ聞きたいというのが当然です。首相は、政府はどういう対応をしているのか? 知りたいこと、聞きたいことは山ほどあります。

 そのため、2月29日の記者会見では、その場にいた記者たちから質問を求める挙手が相次ぎました。

 しかし、首相会見は40分足らずで強制的に終了。冒頭の首相発言を含めると、記者たちの質問時間はごくわずかしかありませんでした。そのうちの半分は首相の答弁に充てられるわけですから、質問できる時間は実質的にその半分に限られます。

 こんな短時間では、満足の行く質問はできません。それにも関わらず、「次の予定がある」という理由で首相会見は打ち切られました。

 会見を終えた首相は壇上から降り、会見室から退出します。その際、挙手をしていながらも質問することができなかったジャーナリストの江川紹子さんが「まだ、質問があります」と食い下がりました。

 しかし、江川さんの声は会見室にむなしく響くばかりで、安倍首相はそのまま退出しています。

 新聞各紙が伝えた首相動静によると、安倍首相のその後の予定は特になく、「私邸へと帰り、来客もなく過ごした」となっています。首相会見を強制的に終了する必然性はなく、時間的にも首相会見の延長は十分に可能だったのです。

 こうした消化不良が、2日後の国会でも取り上げられたのです。蓮舫議員の質問に対して、安倍晋三首相は「いつも総理会見においては、ある程度のやり取りについて、あらかじめ質問をいただいているところでございますが、その中で、誰にお答えさせていただくかということについては、司会を務める広報官のほうで、責任を持って対応しているところであります」と答弁。

 安倍首相の答弁は、首相と内閣記者会とが事前にやり取りした結果の内容であることを暴露するものでした。これまでは公然の秘密だった内閣記者会と首相の「茶番劇」を認めてしまったのです。

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最終更新:4/10(金) 12:31
アーバン ライフ メトロ

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