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朝ドラで俳優人生を変えた人 『ひらり』は渡辺いっけいの「演技学校」だった

4/9(木) 17:00配信

まいどなニュース

朝ドラ出演をきっかけにブレイクするのは今も昔も変わらず。渡辺いっけい(57)も1992年放送の連続テレビ小説『ひらり』へのレギュラー出演をきっかけに、俳優としてのキャリアを軌道に乗せた一人。小劇場で活躍していた舞台俳優としての自負もあり「テレビなんてちょろいぜ!と思っていた」というが、そんな心境も朝ドラ経験がガラリと変えた。

【写真】渡辺いっけい初主演映画「いつくしみふかき」

「マイノリティなものに惹かれるところが僕にはあるので、小劇場に出つつ所属事務所に言われて渋々テレビのオーディションにも通っていました。テレビをやる気はなくて『テレビ?けっ!』とさえ思っていた時代です。そんな折に朝ドラのオーディションに受かった。しかし出演することが決まっていた舞台もある。周囲からは『朝ドラをやることのメリットを考えろ』と言われて、僕は決まっていた舞台を蹴ったんです」。

30代間近という時期。人生の一つの分かれ道でもあった。渡辺は新しい場所に活路を求めて、メジャーに躍り出る決意を固めた。「小劇場側からは当然『どういうことだ!?』と言われて揉めました。でも僕は『朝ドラをやらせてください!』と。その時点で、もう二度と演劇界に戻ることはできないだろうという覚悟を持っていました」と当時を振り返る。俳優として舞台出演だけで生活ができていた自負もあり、それなりの自信もあった。

ところが「テレビなんてちょろいぜ!と思って入ったら、全然難しくて…」と早速出鼻をくじかれる。例えば、ふっと目線を動かすだけの演技でのこと。「僕の場合は目力が強くて、ふっと見ているつもりなのにギロリと睨んでいるよう見えた。今でこそ舞台を映像で記録して見るということができますが、僕らの時代はそんなものはないし、本番それだけ。自分の演技を映像で見せられたときは…驚きましたね」とある種のカルチャーショックを受けた。

そんな渡辺を救ったのは、『ひらり』のチーフディレクターだった富澤正幸氏。「チーフの富澤さんが素晴らしい方で、今では考えられないことですが、テレビでの映り方の基礎を実地で教えてくれました。まずは僕のやりたいように演じて、それをモニターで見せてくれる。次に演出指導があってその通りにやってみる。すると富澤さんの指摘通りに演じた方が自然だった。まさに演技学校みたいで、テレビでの演じ方というものを一から教えてもらいました。それ以来NHKには頭が上がりません」と感謝しきりだ。

舞台俳優としてアルバイトもせずに食べていけた、そんなキャリアとプライドもあったはずだが「そういう意味では僕は真面目だったのかもしれないね」と笑いつつ「テレビは舞台と違って完成形を自分でも客観的に見ることができて、失敗もわかる。場数を踏めば踏むほど勉強になる。それが凄く良かった。自分の演技を客観的に見てダメな部分を直せるというのは演技者として素晴らしいツールだと感動しました」。その後の渡辺の活躍ぶりは周知のとおり。テレビドラマだけではなく、映画に舞台に、アニメ声優までも。初主演映画『いつくしみふかき』の公開も控える。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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最終更新:4/9(木) 18:17
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