ここから本文です

一人称の表現だからこそ伝わる、発達障害。反響を呼んだCM『見えない障害と生きる。』はどう生まれたか

4/10(金) 15:45配信

ハフポスト日本版

僕は誰だ

人間

でも僕はフツウじゃないらしい

だから何だ障害者

【動画】一人称の表現だからこそ伝わる、発達障害。反響を呼んだCM『見えない障害と生きる。』はどう生まれたか

健常者

違う

僕は僕だ


東海テレビが制作した公共キャンペーンCM「見えない障害と生きる。」が、JAA広告賞・消費者が選んだ広告コンクールで経済産業大臣賞を受賞した。

本作に映し出されるのは、片付けが苦手で離婚に至った、教師だが文字が読めない、こだわりが強いといった特性を持つ人々。彼らは皆、発達障害の当事者だ。一見しただけではわかりづらいような彼らにとっての「障害」が、伝わりやすく表現されている。

5分の映像は、自身も自閉症(発達障害の一種)の当事者であるラッパー・GOMESSさんが90秒のラップで締めくくる。記事冒頭の詞は、「いつまでも個人的でいたい」と望む彼が、ポエトリーリーディングで語り始める言葉だ。

本作プロデューサーの桑山知之さんは、ドキュメンタリー映画『さよならテレビ』の現場にもなった東海テレビ報道部に所属している。発達障害を扱うにあたっては、「知ったような口を利かないこと」を念頭に置いたという。

JAA広告賞のほか、日本民間放送連盟賞のCM部門最優秀賞受賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSではゴールド受賞、そしてYouTubeでは100万回再生を突破するなど大きな反響を呼んでいる本作。今、制作の意図や思いを、2人に聞いた。

当事者一人ひとりの現実を映し出す

発達障害についての認知は、近年急速に広がってきている。社会生活のなかで「ふつう」から外れることにより生じる彼らの困難は、決して他人事ではない。自分自身や周囲の人々のなかで身近に存在していることを、人々は認識し始めている。

一方で、特定の当事者をメディアが取り上げることにより、例えば「発達障害のある人は『天才』だから、もっとできるはずだ」といった誤解もまだまだ根強い。当事者のなかで「自分は当事者の彼とも違う」と疎外されるような意識が生じることもある。

桑山さんは、あえて発達障害の具体的な説明をしたり、一般化して伝えたりはしなかった。

「人の深いところを掘り下げて、ミクロな世界を見せることでマクロが見えてくる。今回で言えば、当事者一人ひとりの現実を映し出すことで、より広く、発達障害について見えてくることってあるだろうなと考えていました。

特性の説明はCMの尺では描き切れない。なるべく削ぎ落とし、最小限の情報で最大限の衝撃を与える。最終的に映像化できなくても、それはそれでよし、と開き直って取材を始めました」

本作に登場する人々は皆、「自分」を伝えている。映画『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督が、アカデミー賞の授賞式で「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」というマーティン・スコセッシの言葉を引いたことは、私たちの記憶に新しい。

1/4ページ

最終更新:4/10(金) 15:45
ハフポスト日本版

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事