日欧共同の水星探査計画「ベピコロンボ」の探査機が、地球の引力と公転を利用して軌道と速度を変える「地球スイングバイ」に成功した、と宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)が21日、発表した。2025年末の水星到着に向け、行程の最初の関門を乗り切った。太陽に最も近い惑星である水星にはこれまで米国の探査機が2機しか送られておらず、磁場や内部構造など多くの謎が残っている。関係者は「水星から教科書が書き換わるほどの新発見を届ける」と意気込む。
探査機は日本時間10日にスイングバイを実施。午後1時24分57秒の地球最接近時には南大西洋の上空1万2689キロを通過し、秒速約5キロの減速を行った。その後、ESAは機体が計画通りの軌道に入り、順調に航行を続けていることを確認した。
スイングバイは探査機が燃料の消費を抑え、遠い天体に効率よく向かうために行う。小惑星探査機「はやぶさ 2」が太陽からみて地球より外側へ向かうため加速するスイングバイを行ったのに対し、内側にある内惑星に向かう探査機は減速する必要がある。このため、ベピコロンボは今回の地球に続き金星を利用して2回、水星で6回の減速スイングバイを計画。9回ものスイングバイは惑星探査機としては史上最多となる。
探査計画のプロジェクトサイエンティストを務めるJAXA宇宙科学研究所太陽系科学研究系の村上豪助教(惑星超高層物理学)は「スイングバイに一度でも失敗すれば水星にたどり着けなくなる。まずは無事に完了でき、ほっと一安心」と胸をなでおろしている。
今回のスイングバイには新型コロナウイルスの感染拡大という、予想外の課題も生じた。ESAでは運用するプロジェクトを減らす措置を取っているが、惑星へと現に航行中の探査機を止めるわけにはいかない。ドイツ・ダルムシュタットにある管制室では、入室するスタッフを制限して作業に臨んだ。
オランダの自宅での対応を余儀なくされたESAの科学担当者は「ほんの数カ月前には、こんなことになるとは全く想像できなかった」とする。JAXAはもともと中心メンバーのみが交代制で相模原市の拠点から参加することにしており、この計画通りに対応したという。
最終更新:4/23(木) 17:56
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