ここから本文です

新型コロナで“カンフル剤”が消えた工作機械業界、「デジタル化」で乗り切れるか

4/24(金) 15:05配信

日刊工業新聞電子版

JIMTOF中止で顧客とのつながりに工夫

 12月7―12日に東京都内で開催が予定されていた「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」の中止が決定した。工作機械業界で受注が低迷する中、メーカーにとって自社の技術や商品を提案できる機会を失うことになる。ただ、各社は手をこまぬいているわけでなく、デジタル技術を活用したプロモーションに乗り出すなど、自ら商機の創出に動きだしている。

 「JIMTOFは最先端の技術や商品を東京から世界へ発信する場で、出展者はそれに向けて準備してきた。中止の影響は小さくはない」。主催団体である日本工作機械工業会(日工会)の天野正義専務理事は、JIMTOF中止が業界に与えるインパクトをこう受け止める。

 工作機械業界では、米中貿易摩擦の影響が残る中、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が追い打ちとなり、受注環境が低迷している。JIMTOFというプロモーションツールが消え、業界関係者からも中止を惜しむ声が聞かれる。

 オークマの家城淳社長は中止について「ある程度覚悟していた」ものの「JIMTOFは2年に一度のお祭りで『IMTS(国際製造技術展)』とともに需要回復のカンフル剤として期待していた」と残念がる。来場者側からも「今回は、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、ロボットがうまく合わさったシステムが見られるのではと楽しみにしていた」(ユアサ商事の高知尾敏之常務)といった声も挙がる。

 ただ工作機械メーカーとしては、JIMTOFに向けて計画していた新製品・技術の開発の手を緩めることはない。そのため今後は「JIMTOFに向けて準備を進めてきた新製品を市場にどう訴求するかが、次に考えるべき課題」(中堅工作機械メーカー首脳)だ。

 カギとなるのはデジタル化だ。DMG森精機は、自社での少人数制の展示会を開催するほか「来られないお客さまにはフルCGと4K映像を組み合わせたデジタルツインによる製品紹介動画とオンラインセミナーで紹介する」(広報担当者)などし、新商品を訴求する。牧野フライス製作所も「プライベート展示会とデジタルツールの活用による両輪で、顧客とのコミュニケーションを高めていく」(業務部)方針だ。

 「コロナ収束後のビジネスの景色は変わる」。オークマの家城社長は、デジタル化による事業環境の先行きをこう見通す。同社でもデジタル技術でデモやテスト加工をするなど、デジタル技術の活用を進める方針。今後、ほかの工作機械メーカーでも同様の動きが広がることが予測される。その意味でも、今回のJIMTOF中止は、業界のデジタル化の進展に向けた大きなきっかけになるかもしれない。

最終更新:4/27(月) 16:53
日刊工業新聞電子版

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事