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バラバラに砕かれた車・・・その正体は?│「一瞬を凍りつかせる」技術に迫る

4/26(日) 19:47配信

octane.jp

スイス人アーティスト、ファビアン・エーフナーが生み出す素晴らしい作品の数々をご紹介。ファビアンは見る者の心や気持ちに強く訴えかける写真を創造することで、アートと科学を融合した独特な世界を写し出し大きな反響を呼んできた。波動、求心力、虹色、炎、強磁性流体など、人の目には見えない無数の瞬間を写真に残すため、常に目を光らせているのだ。

バラバラに砕かれた車・・・その正体は?│「一瞬を凍りつかせる」技術に迫る(写真12点)

彼の作品には、“Disintegrating”シリーズと“Hatch”シリーズの2つがある。いずれのシリーズも「車」を素材としたものだが、どちらもコンピューターで処理を施したイメージを、あたかも実物を映した写真のように見せている点で共通している。今回は、Disintegratingシリーズを主にご紹介しよう。

“Disintegrating”シリーズは、クラシックスポーツカーの爆発する瞬間を捉えた作品だ。ファビアンはメルセデス・ベンツ 300SLなどのスケールモデルを分解し、部品をひとつずつ、その配置も含めて写真に収めることで、自動車が爆発するまさにその瞬間のイメージを苦心して作り上げた。

ファビアンは、「3Dレンダリングのもつ、混じりけのない、くっきりとした画像は、いつも僕の心を掴んで離しません。 そこで、このようなタイプの美しいイメージと写真のもつ真の強さを結びつけてみようと思ったのです。 これらの画像は時間を捉えるという点でも共通しています。Hatchシリーズは時間を止め、Disintegratingシリーズでは瞬間を創作しました」と説明する。

車が粉々に砕け散る一瞬を創造

「写真はある一瞬を切り取るものであるのに対し、Disintegratingシリーズはいずれも一瞬を創造したもの」、とファビアンはいう。「このイメージの中で皆さんが目にしているものは、実際の世界に存在したことがありません。車が粉々に砕け散るように見えるものは、実際のところ、何百枚もの個別のイメージを組み合わせて人工的に作り出した「瞬間」です。 一瞬を創造する、というのはユニークな喜びに満ちています...一瞬を凍りつかせることは感覚を麻痺させるのと似ています」

この作品から見て取れるのは、爆発したクラシックスポーツ カーの姿だ。深い感動を残す印象的なガルウイングドアのメルセデスベンツ 300 SLR Uhlenhaut Coupé (1954)、流線型が象徴的な黒のジャガー E-Type (1961)、そして、官能的な曲線美に心を奪われるフェラーリ 330 P4 (1967)。

ファビアンはまず、個々の部品が収まるであろう位置を紙の上にスケッチする。そして、スケールモデルをまさに「ばらばら」に解体していくのだ。ボディから小さなネジに至るまで。それぞれの車には1000個以上の部品がある。

その後、最初のスケッチをもとに、細い針と糸を使い個々の部品を決まった位置に置いていく。 細心の注意を払いながら各ショットのアングルを決めたあと、それぞれに適した照明を設置し、部品を写真に収める。Disintegratingのイメージを作り出すために、彼は気の遠くなるような膨大な枚数の写真を撮った。

そして無数の写真を合成し、1枚の写真を製作するための後処理に掛けられる。基準点となるのは車輪。Photoshopを使いあらゆる部品を1枚のレイヤー(マスク)へと落とし込み、切り取り、最終イメージへと貼り付けていく。

「あるほんの一瞬を切り取ったようなイメージを作成するために、2ヵ月を費やしました。どのモデルも複雑な構造で、車の解体にはそれぞれ1日以上かかっています。とはいえ、少年時代に誰もが夢中になった世界です。 細部を分析する過程は楽しくもあり、解体ではさまざまな発見がありました。タマネギの皮をむくような感じですね」

しかし、彼はこうも述べている。「一番手強かったのはカメラ、レンズ、そして照明のセッティングでした。美しい写真が撮れないと、それはもうストレスがたまりましたから!」
 

次回は、Hatchシリーズ「殻から生まれるフェラーリ250GTO」をご紹介。

Octane Japan 編集部

最終更新:4/26(日) 19:47
octane.jp

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