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和田彩花「アイドルの解釈を広げる」アンジュルム卒業の真相とその未来、言動への賛否両論、新型コロナで公演中止――想いの丈語る

4/26(日) 20:05配信

Billboard JAPAN

 昨年6月までハロー!プロジェクト及びアンジュルムのリーダーとして活躍してきた和田彩花。今現在はアイドルの解釈を広めるべくソロへ移行し、音楽中心により幅広い表現活動に日々勤しんでいるが、そんな彼女にインタビューを敢行(※2020年3月後半に実施)。卒業の真相とその未来、言動の自由度が高まった分だけ巻き起こる賛否両論、新型コロナの影響で中止となってしまった初ツアー等々について、思いの丈をざっくばらんに語ってもらった。

<「アイドルの解釈を広げる」女性の在り方とアイドルの在り方を問い続ける>

--ソロ活動開始から約10か月。グループ時代と比べてどんなところに違いや変化を感じていますか?

和田彩花:自分の意思を明確にハッキリと言うようになったし、SNSも自由に使えるようになったから、それがより広がっていくじゃないですか。本当に自分が考えていることを示していける、その楽しさをとっても感じます! 自分の想いや気持ちを強く持っているタイプだから、それを制限することは元々あんまり得意じゃなくて。なので、今は素のままの自分を表に出せるのが楽しいし、ファンの方から「あやちょが素直に話してくれるから、自分も素直に話せる」と言ってもらえたりして、そういう風にファンの人たちとの関わり方が変わってきていることも嬉しいなと思います。

--ハロプロ時代、特にリーダーになってからは、純度100%の自分の意見を発信することが難しくなって、ちょっと言い回しを変えたり、タイミングを考えたり、責任者ゆえの苦悩があったと思うんですけど……

和田彩花:ありましたね。

--でも、ソロになってからは「純度100%の和田彩花」を発信できるようになった。

和田彩花:そうですね。平賀さん(※この記事のインタビュアー)の安倍総理についてのツイートにいいね押したら、ちょっと色々言われたんですよ(笑)。「あやちょはそっちなのか」「利用されているんじゃないか」みたいな。ちょっとでも政治に反応するとそういう反応が出てきちゃうけど、でも私は「別に」って感じでしたから。ただ、私は自分で「アイドル」という枠を付けて活動しているからこそ、従来のアイドル像が好きな人からは色々言われるし、国際女性デーのときの言動に対してもそうですし、どうしても合わないところは目に見えて出てくるようになりました。

--でも、あやちょはアンジュルムの卒業公演で「アイドルの解釈を広げる」と明言されていましたよね。その為には、あやちょ自身の言動は自由じゃなきゃおかしいし、純度は高くなきゃいけない。そこで聞きたいのですが、あの「アイドルの解釈を広げる」という発想はどんな経緯があって生まれたんでしょうか?

和田彩花:最初になんでそう思ったかは忘れちゃったんですけど(笑)。でも、10年もアイドル界にいたら、そりゃいろんなことに気付くし、もちろん気付かないパターンもあると思うんですよ。ただ、私は美術に接していたし、学問としていろんなモノに触れていたからこそ、アイドルでいることに対するモヤモヤがあって。でも、その中で「こういう解釈の仕方がある」とか「ここと共通点がある」とか気付いていったから、女性の在り方とアイドルの在り方を問い続けていくというのは、私の中では自然な流れだったんです。

<卒業の真相とその未来「どこかでまた逢えるんじゃないかな」>

--かつてアンジュルムからあやちょが卒業する気配を悟って、それをひっくり返そうとするインタビュー()もやらせて頂きましたけど……

和田彩花:あのときには、ほぼほぼ卒業することが決まっていたから「悟られた!」と思いました(笑)。

--アンジュルムに対するあやちょの愛情深さを知っていたので、ああいう内容になったと記憶しているんですけど、あれだけ大切だったアンジュルムに自分の中で決着をつけることができた要因はなんだったんですか?

和田彩花:要因? なんだろうなぁ?

--自分の中で、理想のグループみたいなところに到達した感覚はあったの?

和田彩花:え、到達してないです。全然してないです。してないけど、でもそこに拘ることがどこかでちょっと「もう無駄かな」と思いました。あと、単純に体調もよくなかったんです。いろいろ考えすぎちゃって(笑)。その状態のまま続けていたら私が壊れちゃうかもしれないし、グループが壊れちゃうかもしれないし、それで素直に「続けられないな」と思ったんです。

--自分やグループを壊さない為の選択でもあったんですね。ちなみに「アイドルの解釈を広げる」べく活動している今のあやちょから見て、今のハロプロやアイドルシーンはどう映っているんですか?

和田彩花:(小さい声で)……あんまり見てないんですよね。ハロコンにも一度も行ってないから。なので、私が言えるのは、アンジュルムに対してだけですね。私は卒業しているので、あんまり口うるさく言うことは出来ないんですけど、でも卒業してからより「アンジュルムってこういうグループだよね」って感じています。みんながポンポン卒業していくのもすごくアンジュルムらしいというか、やっぱり「まともじゃないな」というか(笑)。しっちゃかめっちゃかしているのも「あぁ、彼女たちらしいな」って思うし、それでみんなバラバラに1回なるかもしれないけど、多分「どこかでまた逢えるんじゃないかな」って感じがするから、それが今はめっちゃ楽しみです!

--その再会ストーリーは素敵ですね。

和田彩花:10年とか先になるかもしれないけど。その頃にはももな(笠原桃奈)とかも大きくなっているから、そっちも楽しみですね。今はまだ色々変化があるので、とにかく「温かい目で見守る」というスタンスが必要かなって。

<和田彩花と音楽の在り方「どうして私だけが一歩前にいるんだろう?」>

--あやちょは今現在も「アイドル」と銘打っていますが、具体的にどんなアイドルになっていけたらなと思っていますか?

和田彩花:目標とする、理想とするアイドル像はあんまりないから、自分でソレを作っていけたらいいなと思う。自ら「アイドル」と設定しているからこそ、そこに縛られることはあるけど、でもだからこそ出来ることもあるし、やることに意味が出てくるから、それを上手く使って、いろんな人が「こういうアイドルもいていいんだな」と思ったり、今、アイドルをやっている人たちが「こういう人もいるんだな」と思ったり、そういうタイプのひとつになれたらいいなと思ってます。

--まさに「アイドルの解釈を広げる」ですね。そして、その姿勢は音楽にも表れていますよね。「躊躇なき和田彩花を表現すると、こういう音楽になって、こういうライブになるのか」と毎回楽しませて頂いています。

和田彩花:アンジュルムを卒業してから「バンドとか楽器で音楽は成り立っているんだ」ということに気付くきっかけが結構あって。いろんな人とのコラボという関わりの中だったり、バンドメンバーの劔樹人さんが「こういうのもあるんだよ」って見せてくれたモノだったり、それを通して「音楽って楽器で出来ているんだな」と今更気付いたんです(笑)。ハロプロに居るときは全然知らない世界だったんですよ。音源を聴きながら練習して、それをリハーサルや本番のマイクに乗せるだけだったので。

--生バンドで歌う機会はなかったですもんね。

和田彩花:で、自分のソロライブのリハーサルがあったんですけど、実際に人が楽器を生で弾いて、それに合わせて歌うのって全然違う感覚だったんですよ。「RECのままの自分の声の出し方や乗せ方じゃ合わないんだ」って気付いて苦戦していたんですけど、バンドの方たちが「楽器に委ねたらいいんだよ。楽器と一緒にやっていくイメージで歌ってみたら?」とアドバイスしてくれて、その通りにフラットに歌ってみたらめっちゃ褒められて! それでステージでの在り方をちょっと変えてみたんです。そうなると、今度は「私が一歩前に出て、後ろに楽器の人たちがいる。リハーサルで一緒にやるってことに重点を置いていたのに、どうして私だけが一歩前にいるんだろう?」って違和感を持つようになって。まだ恥ずかしがり屋の一面もちょっとあって(笑)、ひとりだけ目立っちゃうんじゃなくて「みんなでやりたい」という気持ちが強かったんです。そんなことを考えていたら、新型コロナの影響でライブが中止になってしまって。でも『25時間半テレビ』に出ることになったんですよね。

--あやちょも所属するYU-Mエンターテインメントの番組『25時間半テレビ ~アイドルと未来へ向かう場所~ #愛で山田を救ってくれ』ですね。

和田彩花:そのリハーサルで「試しにみんなで丸くなって、バンドと向き合って歌ってもいいですか?」と私が言って、実際にやってみたんですよ! そしたら、みんなが音を出しながら、それぞれ一緒に音に乗っていく、その雰囲気や流れがめっちゃ楽しくって! 本番のステージでもその形でライブさせてもらったんですけど、すごく良い体験でした。

--このタイミングで音楽の楽しさを実感できたんですね。

和田彩花:ただ、それと同時に「今までこれだけ音楽をやってきたのに、そこに自分の表現って何もなかった」って気付いたんですよ。だって、グループ時代は、振付も作ってもらって、曲も出来ていて、歌い方も決まっていたじゃないですか。見せ方という部分では「表現」という言葉を私は使っていたかもしれないけど、それは表現でも何でもないって気付いちゃって。ちょっと悔しかった。でも、今は自分で何でも出来る機会がある。だったら、表現に対してもっとストイックにやっていきたいと思っています。

<新型コロナの影響「自分がやりたいのは、エンターテインメントじゃない」>

--ただ、そんな今のあやちょの音楽が体感できる予定だった【和田彩花ライブツアー前2021―この気持ちの先にあるものはなに?―】。新型コロナの影響で大阪公演と東京公演は中止となってしまいました。

和田彩花:でも、予定通り開催していたら絶対に今の私はないと思います。円形ライブも思い付いていなかったと思うし。新型コロナがあったからこそ、ライブ以外でも、すごくいろんなことを考えさせられています。だって、私たちは「自粛要請」という言葉によって、ひとつもライブ活動できないじゃないですか。そうなると、お金の問題も出てくるし、私は今までお金のことをこんなにも気にしたことはなかったし、「命が懸かってるから」と中止にするのは分かるけど、そうなると「お金が……」という風になるわけじゃないですか。どっちも大事なんですよね。それなのに中止が正しいことかのようになって、みんな中止せざるを得ない状況になって、そして、再開する一歩も踏み出せない状況というのは、すごくモヤモヤする。世界的に情勢もすぐ変わっていく状況下で、そんなところに正しさは本来求められないのに、正しさがどんどん作られていく流れも同時にあって。

--そこはどんどん激化していってますよね。ゆえに衝突も起きる。

和田彩花:最初は「拡大を防ぐ為にすぐさま中止が絶対にいい」と思っていたけど、中止に出来ないという現実を突きつけられたり、でも中止にせざるを得ない現実も出てきたりして、すごく勉強させられています。ただ、この先が怖いですね。

--この状況が長引いてしまうことが怖い?

和田彩花:それもあるけど、人の心が……こういう状況であっても「これが正しいことだ!」としっかり分けてしまったり、結局は対立でしか物事を考えられなかったり、それって怖いことじゃないですか。あと、こんな状況でも、ウィルスがどこから発生したか知らない人がいるんですよ。もうビックリしちゃって。私、武漢でウィルス発生したと言われた当初からずっと情報を追っているから「なんでそんなことも知らないの?」って。そういった面でも色々思うことがあるし、そういう今の状況を知ろうともしない人たちもいる中で、エンターテインメントの世界だからと言って「そんなに明るく楽しく現実逃避しちゃっていいのかな?」という気持ちもどこかにあって。それで「自分がやりたいのは、エンターテインメントじゃないんだな」と気付いたんです。私がやりたいのは、きちんと形に残すこと。それが文化になっていくし、やっぱり興味があるのは文化だから「きちんと残せるようなモノを作りたい」という気持ちが今はすごく強いです。

--あやちょが今作っているモノって、根本には「生きる」とか「生き方」がテーマにあって、その上で「こういう生き方もあるんだよ。許容していこうよ」とか、逆に「これに関しては問題提起していこうよ」とか、それらをあたりまえに発信していくことの健全性も含めて表現している印象があります。

和田彩花:自分に関係あることを考えないなんて私にできないし、たぶんソレを取り入れているだけ。だけど、ソレを日本でやっていくのは色々と難しいです。

--どんなところに難しさを感じますか?

和田彩花:例えば、ジェンダーギャップのランキングが発表されたんですけど、日本は121位だったんです。それで「121位」という曲を作ったんです。でも「YouTubeで公開するならどの曲にする?」という会議をしたときに、私は「「121位」でも良いんじゃないか」と言ったら「これはいろんな人に対してトゲがあるから」という理由で却下になったんです。私はそこで「あ、そういう曲なんだ?」と思って。だって、実際に出ている数字であり、自分たちが意識しないといけない問題じゃないですか。しかも直接じゃなく音楽で表現するのに、でもソレを出すのにはちょっと勇気が必要で……というときに難しさをすごく感じました。自分の日常に関わることで、生きていくのに必要なあたりまえのことなのに、それですら発信しづらいんだなって。

--でも、有無も言わさぬ凄まじい表現力で発信している方もいますからね。そういう壁にしっかりぶつかっている時点で、あやちょもそういう表現者になっていくタイプだと思いますし、これからも「121位」のような性質の歌をどんどん書いていく人だと思いますよ。

和田彩花:そうですね。ただ、書きたいと思わないと書けないです(笑)。

--それはもう芸術家ですね(笑)。

<将来の夢「ロックスターになりたいと思いました」>

--今後はどんな活動をしていきたいと思っていますか?

和田彩花:文化について調べたときに「異邦人の目」という言葉に出逢ったんですけど、いつもと違った目線から物事を見ることで、自分たちの習慣に気付いていく。そこでアクションを起こしていくことで、それが自分たちの文化になっていく。なので、私は海外に行きたいと思っているんですよね。そういう経験を通して、もう一度「自分」とか「日本」というモノをきちんと捉え直したいし、考え直したいし、そこで違う目を持って帰ってきたいなと思います。でも、新型コロナがいきなり舞い込んできたから、今ちょっと動揺しているんですよ。東京五輪のあいだに、私は逆に海外を見てみようと思っていたんですけど、東京五輪も延期になっちゃったから、それによって自分のスケジュールも随分変わっちゃって。

--あやちょの為にも、新型コロナには早く終息してもらいたいです。そして、あやちょが大好きな美術家や芸術家のように歴史に名を残すような作品を……

和田彩花:そこまでは考えてないです(笑)。死んだら歴史の中に消えていくだけですよ。

--あやちょの生きた証を時代に打ちつけ……

和田彩花:ないです、ないです! 死んだら来世に向かいます。違う人に生まれ変わるんですよ。

--来世では、何をやるんですか?

和田彩花:ロックバンドをやります。ロックスターになりたいと思いました。

--初めて聞きました(笑)。なんでロックスターになりたいと?

和田彩花:とあるバンドのライブを観たときに「格好良いな!」と思ったんですけど、私は楽器ができないから「じゃあ、来世でロックスターになろう」と決めました。楽器をやります。ギターにするか、ベースにするか、迷ってます(笑)。現世はロックスターとして生きてこなかったので、今からは無理じゃないですか。だから来世でロックスターになります。

--来世のあやちょも見てみたくなりました。

和田彩花:今こうして巡り会っている人たちは、来世でも関係するんですよ。だからもしかしたら平賀さんがマネージャーになっているかもしれない。

--まさかの(笑)。じゃあ、現世はどうするんですか?

和田彩花:私は35歳までアイドルをやるんですよ。あと10年は好きにできますから今の活動を続けて、10年後「ちょっと自分の形がまたひとつ見えたかな」となったら、もしかしたらまた違う仕事を始めるかもしれない。もっと将来的には、おばあちゃんになったら文化をもっと盛り上げる仕事がしたいので、そっちにも人生を広げていきたいと思っています。

--では、今後も継続的に取材させてください。

和田彩花:ロックスターになってもぜひよろしくお願いします(笑)。

--はい、2周目も(笑)。

取材&テキスト:平賀哲雄

◎和田彩花 - RemoteREC(2020.04.24)


◎和田彩花 - あなたが選んだもの、あなたが選ぶもの(MUSIC VIDEO)


◎和田彩花 - 空を遮る首都高速(MUSIC ONLY)


◎和田彩花 - Une idole(MUSIC VIDEO)


◎和田彩花 Twitter

最終更新:4/26(日) 20:05
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