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松田公太氏が見るコロナ対策の問題点「外食産業は家賃支払いモラトリアム法が必須」

4/27(月) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【注目の人 直撃インタビュー】

 松田公太氏(実業家・元参議院議員=51歳)

 新型コロナウイルスで世界経済が未曽有の危機にある中、日本政府の対応は後手後手に回り、曖昧な緊急事態宣言で休業補償もしない。銀行員を経てコーヒーチェーン「タリーズ」を創業後、政治家も経験。いま再び外食産業に身を置く実業家が見る政府のコロナ経済対策の問題点――。

  ◇  ◇   ◇

 ――自粛要請中ですがどのような日常生活ですか。

 外出は控えてほとんど自宅です。ただ私の会社では本部社員の半分以上は出社せざるを得ません。多くの企業ではテレワークが成り立たないんです。

 ――2月の時点でいま経営されているレストランの従業員にマスクを配布されたそうですね。

 危機意識があったので数カ月分の消毒液も確保しました。タリーズを創業したとき最初の数年間は店舗に張り付き、現場を知り尽くしていたので、状況は見通せました。

 ――そのお店も厳しい状況だそうですね。

 3月になって売り上げが激減しました。まず東京、大阪から厳しくなり、自治体が感染者を発表するたびに臨時閉店が続きました。政府の緊急事態宣言は中途半端です。店を開いてもいいが、お客さんは呼ぶなと言う。飲食店に補償をしたくないから、閉めろと言わずに詭弁を弄する。そうすると商業施設から閉めざるを得ないと言われて店子にしわ寄せが来ます。われわれは細々とテークアウトを中心にやっていくしかない。

■テークアウトでは飲食店の危機は解決しない

 ――テークアウトで事業は持ちこたえられますか。

 無理です。マクドナルドや吉野家などは大丈夫でしょうが、うちはイートイン向けの店がほとんど。こういう店はいま、前年比でせいぜい10%の売り上げしかいかない。マイナス90%の飲食店は他にもたくさんありますが、これから売り上げゼロになります。1カ月程度なら、なんとか持ちこたえられますが、この状態が半年続けばどんなに努力をしても無理です。

 ――飲食業界全体が危機的ですね。

 一刻も早く手を打たないと。日本の就業者数は6600万人で小売りを含めた飲食業の就業者数は1100万人。外食産業の規模は26兆円で、料理小売りを含めると33兆円です。4兆円の家電、11兆円のコンビニ、17兆円の自動車販売の3つを合わせてようやく同等です。このままだと半年で4分の1の飲食店が潰れます。雇用がどれだけ失われるか。これまで人件費上昇、原価高騰、消費増税と三重苦が続いてきましたが、トドメを刺されます。2008年のリーマン・ショックで自殺が増えたが、いまはもっと悪い。年間1万人以上自殺者が増えます。東日本大震災でも一部のエリア以外は動いていましたが、いまはすべての人が止まっている。銀行も貸し剥がしに動く可能性もあります。

 ――飲食業はいずれにせよ必要なのに潰れたら元も子もない。

 インバウンド経済で日本の文化は素晴らしいと評価されていますが、要は「食」です。私も世界中のいろいろなものを食べてきましたが、なぜ海外に旅行したいかといえば、食べ物。安くておいしいものを食べたいんです。東京はミシュランの星の数が世界一ですが、それは日本の外食産業では全員がライバルと捉え、切磋琢磨してきたからです。飲食業界は新陳代謝が激しく、競争原理が働いています。ちょっと値上げするだけで売り上げがガクンと落ちる。だからこそ、日本の「食」は強くなった。その自由競争の業界に突然、政府が休業要請をして止めに来た。

 ――効果的な対策もないですね。

 飲食業には政治家の利権が少ないからでしょう。議員になった当時はさまざまな業界の利権を排除したかったのですが、経済産業委員会では政府の経済対策が製造業や電力事業者に偏重する姿を何度も目の当たりにしました。外食産業には日本フードサービス協会という業界団体が一応ありますが、自由だと聞いています。結託して規制を強くする必要もないからです。

 ――そこで家賃モラトリアム(家賃猶予)を主張されています。

 小売業も含めて、とにかく家賃猶予法案を通さないとまずい。特に東京では賃料が月400万円などざらなのです。しかし仲介業者は不動産オーナーと仲良くしたいし、お金にならないから店子の側に立ってオーナーと交渉してくれない。店子も銀行やオーナーとどう直接交渉したらいいのかわからない。交渉に全く応じないオーナーも多い。そこで家賃猶予法を作って、店子が家賃交渉を行えるよう国に打ち出してもらいたい。リーマン・ショック後に施行された中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)は一定の効果があったと思っています。あれでガイドラインが出され、95%の銀行が返済猶予に対応しました。本当だったら倒産すべきゾンビ企業も延命してしまったのは事実ですが、多くの優良企業も生き残り、いまや納税者になってくれています。とにかくいまは与野党一緒になって協力してほしい。国会議員の仕事は法案作り。早く動くべきです。

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最終更新:4/27(月) 11:38
日刊ゲンダイDIGITAL

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