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竜星 涼が三谷幸喜の薫陶を受ける。舞台『大地』で役者としてさらなる進化を遂げる彼の今の気持ち

4/27(月) 13:01配信

エムオンプレス

俳優デビュー10周年を迎えるメモリアルイヤーに、数々の傑作舞台を世に送り出している三谷幸喜の新作舞台『大地』に出演する竜星 涼。
渋谷PARCO建替えのため2016年に休館、今年1月に復活したPARCO劇場で6月20日より上演される本作は、個人主義でありながら集団の中でしか生きることのできない、不可思議な生き物“俳優”の真実を描く“三谷流俳優論”とも言える作品だ。
竜星 涼に加え、キャストには日本のドラマ・映画・演劇の世界に欠かせない存在の大泉 洋を筆頭に、『おのれナポレオン』以来7年ぶりに三谷作品に出演を果たす山本耕史、栗原英雄、藤井 隆、濱田龍臣、小澤雄太、まりゑ、相島一之、浅野和之、辻 萬長と、舞台だけでなく映画・ドラマでも活躍する多彩な顔ぶれが“三谷組”に集う。
劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』(2018)以来の舞台出演、三谷作品に初出演となる竜星 涼にインタビュー。

【写真】竜星 涼さんの撮り下ろしショット

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望

◆なぜ僕が役者をしているのかを見つめ直すことができそう

ーー 三谷幸喜さんの作品に初めて出演されますね。

三谷さんとはいつかご一緒したいと思っていました。劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』(2018/以下『髑髏城~』)の次に出陣する舞台として、三谷さんの新作に出演させていただくことが決まってとても嬉しいですし、しかも新しいPARCO劇場に立てることができるので光栄です。

ーー 「PARCO劇場お披露目&オープニング・シリーズ記者会見」のときに『大地』の出演者のひとりとして出席されて「僕ら若い世代が日本の演劇界を背負って、新生PARCO劇場に新しい風を吹かせたい」とおっしゃっていた言葉が印象的でした。

あのときは、歴史ある劇場に立つことができる意味を噛み締めながらお芝居をしたいと意気込んでいました。僕たち20代の俳優は、あの場に登壇されていた先輩方に食らいついていく“若さ”を武器にしながらも、先輩たちの経験を受け継いで演技をしていく世代だと思っているので。演劇はお芝居が勉強できる素晴らしい場所ですし、役者として真摯に今作に向き合いながら、尊敬する先輩から多くのことを学ぶことを忘れずに演技をしたいと思っています。

ーー 今作は三谷流の“役者論”の物語だそうですね。

僕にとって舞台は、役者としてのマインドを変えてくれるターニングポイントになります。2018年に『髑髏城~』に出演して得たものは大きかったです。そこで俳優として次のステップに進んだ気がしました。今作では、なぜ僕が役者をしているのかを見つめ直すことができそうなので、これまで以上に大きな転機になりそうですね。

ーー 役者としても新しいモチベーションが見つかりそうですね。

そうだと思います。ここまで役者をずっと続けているのは、お芝居が楽しくて刺激的だからこそで。今作は初めてご一緒する先輩ばかりですし、これまでとは違った新しい刺激を見つけることができると思います。

◆三谷作品からは、カンパニーの仲の良い雰囲気が伝わってくる

ーー ちなみに、前作出演の『髑髏城~』で役者として得たものは何ですか。

“自信”です。デビューしてから『髑髏城~』に出会うまで、役者というお仕事が自分に適しているのかを模索していたところがあって。でも、『髑髏城~』に出演して、いろいろな先輩のお芝居への向き合い方を見たり、お客様から直接喝采を受けたりすることで、役者としての責任感を感じるようになって、公演が終わったときには役者で良かったという想いが芽生えましたし、ストイックに役者を続けたいと思うようになりました。

ーー あらためて今作ではどんなものを吸収したいですか。

劇団☆新感線のときは、大切なポジションを与えていただいてプレッシャーもありましたが、僕にとっての大きなチャンスだったからこそ、『髑髏城~』を乗り越えたことで“自信”を得られたので、今回はそれを大切にしながら、僕が俳優であることを自問自答する作品にしたいと思います。

ーー 会見のときにいらっしゃった三谷さん、大泉さんや山本さんの印象はいかがですか。

会見のときにお会いした三谷さんは「みんな『脚本がなかなかできない』と言うけど大丈夫だから」とおっしゃってくださって、とても優しい方です(笑)。大泉さんからは三谷さんの演出の特徴を聞いたり、山本さんは気さくに話しかけてくださりました。稽古が楽しみです。

ーー 三谷さんの作品の印象はありますか。

皆さん楽しそうにお芝居をされている印象があります。それ以上に、三谷さんが一番楽しまれている気がして(笑)。作品ごとにいつもカンパニーの仲の良い雰囲気が伝わってくるので、今回も稽古場から楽しそうですね。

◆演劇はつねに100点を目指し、ベストを尽くして頑張ることができるのが魅力

ーー 自信を得られたとおっしゃっていた『髑髏城~』での思い出を教えてください。

劇団☆新感線の舞台は、俳優が活き活きして、エネルギーに満ち溢れていて、そのことを劇場で観て肌で感じて感動したことがありました。だからこそ、劇団☆新感線でお芝居をすることの“難しさ・大変さ”を理解できて、『髑髏城~』の出演が決まったときは僕にできるのか不安でした。もっと多くの技術や経験を積んでからでないと劇団☆新感線の作品には出演できないと言い聞かせていたほどで。とはいえ、いつ出演すれば正解なのかは誰にもわからないし、せっかくチャンスをいただいたのだから、思いきって飛び込もうと決意して臨んだので、稽古場ではチャレンジのしがいがあったし、そのおかげでお芝居に関して新しい発見があって、武者震いの連続でした。

ーー オリジナルキャラクターである夢三郎を演じてみていかがでしたか。

最初に脚本を読んだときに、『髑髏城~』の主軸になる要素を抽出した役だと思ったので、演じるのは大変だと思いました。殺陣をこなしたり、女形を演じたり、日舞を踊ったり、やらなければいけないこともたくさんあって。準備しなければいけないことが多すぎて、本稽古の前にすでにぐったり疲れてしまいましたね(苦笑)。福士誠治さんの兵庫 役も僕と同じぐらいひたすら動くので、福士さんと「まだ本番が始まっていないのに大丈夫ですか?」と確認し合ったほどで(笑)。座長の天海祐希さんは日に日に元気になられていくからすごいなと感心しつつ、ご迷惑をかけられないし、僕ら若手は座組みの中でも先陣を切ってお芝居をすることを心がけました。

ーー 演出のいのうえひでのりさんから学んだことはありますか。

いのうえさんはもともとお芝居をされていたのもあって、演出を受けるときにお手本として演技を見せてくださるのですが、面白いんです。いのうえさんは、ご自身の求めているお芝居を正確に要求しながら、ミザンスから立ち位置まで具体的に指示をされるので、僕のイマジネーションではたどり着けない演技を提示されて新鮮でした。ただ、ある場面では、僕としては演技の前に呼吸をしないと次にいけないけれど、いのうえさんからは呼吸の前に次のお芝居に進んで欲しいという指示もあったりして(笑)、いのうえさんの要求とせめぎあいながらお芝居をしてました。

ーー 私も拝見しましたが、かなりハードでしたね。

ステージは傾斜がかなりきつかったので、殺陣で斬られた際に口から吹き出した血糊が顔や目にかかってお芝居ができなくなってしまったこともあって。そういうときは、近くにいる福士さんに助けていただきながら演技をしたり。お芝居のスピードは変わらないわけですから、息を乱してしまえばセリフがワンテンポ遅くなってしまうというような苦しいシーンが続いたり、苦労の連続でした。

ーー そういった大変なことがありながらも、素晴らしい演技でしたね。

ありがとうございます。稽古の最初はいろいろな情報を詰め込みすぎて頭の中がパンクしてしまったのですが、それを見かねた古田新太さんが飲みに連れて行ってくださって、お芝居の話をさせていただいて救われましたね。いろいろな貴重なお話を伺えました。

ーー 76公演というロングランを終えて、あらためて舞台の面白さや難しさを感じたりしましたか。

三谷さんの今作もかなりのロングランでどうなるのか緊張していますが(笑)、『髑髏城~』では終演後に満員のお客様から盛大なカーテンコールで迎えていただいて感動しきりでした。大変だったことも良かったと思えたし、なにより、本番中にセリフを忘れても、何かを失敗しても、みんなが笑い話のネタにしてしまうカンパニーの空気感が心地よかったです。古田(新太)さんは「演劇はどんな失敗をしても、とにかく前に進んで、必ず終わりを迎える」とおっしゃっていて。ドラマや映画ではリテイクが入ることがありますが、舞台は何があっても物語が進んで行くので、演劇はつねに100点を目指し、ベストを尽くして頑張ることができるのが魅力です。

◆令和という時代を役者として生きていくうえで大事な作品になる

ーー 俳優デビューをされて10年になりますね。ここまで役者として振り返っていかがでしょう。

やっと10年経ったな(笑)、と感慨深いです。年齢的にはまだ若手ですが、右も左もわからない若手とも言えない位置にいるとは思っています。10代からお芝居の世界に入って、今もこのお仕事を続けられているのは夢のような気持ちですが、厳しい世界ですし、それを乗り越えてこれたのは、僕を支えてくれる人がいるからで、みんなに感謝しながら、これからも役者であり続けたいです。“まだまだできる”という気持ちが強いので、いつも身を引き締めて、僕のすべてをさらけ出す覚悟で作品に挑んでいます。

ーー 今作を経て、さらに10年後のご自身を想像したりもしますか。

30代を迎えるにあたって、20代の残りの数年間、どれだけ実りのある役者人生を送れるかで、僕が思い描く理想の役者に近づけると信じています。何事にも挑戦し続けたいと思います。

ーー 最後に、お客様にメッセージをお願いいたします。

僕にとって、令和という時代を役者として生きていくうえで大事な作品になると思います。初PARCO劇場、初三谷作品ということで、“若さ”を出しながら、たくさんのことを吸収して頑張っていきたいと思いますので、ぜひ劇場へ足を運んでいただけたら嬉しいです。

ヘアメイク / TAKAI
スタイリング / Takashi Yamamoto
衣裳協力 / ジャケット¥32,000(NEEDLES)
パンツ¥18,000(NEEDLES)
シューズ¥166,000(RICK OWENS)※全て税抜き価格
※その他スタイリスト私物

竜星 涼が三谷幸喜の薫陶を受ける。舞台『大地』で役者としてさらなる進化を遂げる彼の今の気持ちは、WHAT's IN? tokyoへ。

最終更新:4/27(月) 13:01
エムオンプレス

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