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テークアウトのルール、新規参入の飲食店困惑 時代に即した対応を

4/27(月) 7:30配信

中国新聞デジタル

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い苦境に立つ飲食業界で、テークアウト(持ち帰り)に活路を見いだそうとする動きが広がっている。しかし、新たに参入した店から「ルールが分かりにくい」との声が編集局に寄せられた。持ち帰り方法などを巡って保健所から指摘を受け、軌道修正を余儀なくされたという。取材すると、曖昧で、首をかしげるようなルールの一端が浮かんできた。

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 「料理のおいしさを維持でき、容器代わりにもなると思ったのだが」。広島市南区のフランス料理店「エピュレ」のオーナーシェフ、浅田浩司さん(50)は残念がる。今月中旬から予約制のテークアウトを始めた同店。スープの持ち帰り方法を市保健所に相談すると待ったがかかったという。

 浅田さんが考えていたのは真空パックの活用。ふた付き容器と違ってこぼれる心配がない▽衛生的で味も損なわない▽温め直しも簡単―といった理由からだ。しかし、保健所の指摘を踏まえ、ふた付き容器でスープを提供することにした。

 どうして真空パックで提供できないのか。基本的に営業許可を受けた飲食店は、注文を受けて店内で作った料理を持ち帰り販売するのに特別な手続きは必要ない。一方、この許可は、店内の客への料理提供を主に想定する。つまり、出来たての料理を食べてもらうことがテークアウトの大前提で、長期保存できる真空パックでの提供は趣旨に反する、というわけだ。

 飲食店の営業許可の根拠となる食品衛生法が制定されたのは1947年。改正を重ねてはいるが、時代に十分対応しているとは言い難い。市保健所の担当者も「包装や冷蔵の技術は日々進化している」と、現場対応の難しさを打ち明ける。

 「持ち帰りで提供できる料理の一覧表があればいいのに」。フランス料理店「らんぷドゥージエム」(中区)を経営する美紀子エヌゲ田坂さん(40)は素朴な思いを吐露する。

 今月上旬にテークアウトを始め、デザートとして自家製タルトの提供も考えた。しかし、一般的には菓子製造業の営業許可が必要で、許可を得ていないため断念した。

 田坂さんの店の自家製タルトは持ち帰りできないのか。市保健所に尋ねると「スイーツ関係は、調理方法によっては許可がなくても提供できる可能性はある」。実に分かりにくい。

 食べ物の種類やレシピが多様になり、テークアウトの可否を一様に線引きしにくい事情もあるだろう。市保健所は「テークアウトを始める際には個別に相談してほしい」と呼び掛ける。

 飲食店のテークアウト拡大の流れは、しばらく止まりそうにない。もちろん食の安全を第一に考えなければならないが、この緊急事態の中、店側が戸惑うルールではスピード感を持って対応しにくいだろう。時代に対応した、店や客本位の分かりやすいルールが必要だ。

中国新聞社

最終更新:4/27(月) 7:30
中国新聞デジタル

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