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「左目でバッテリー右目でランナー」中日・鈴木スコアラーが会得した“分析力”の真髄『視野を広げるべし』

4/27(月) 7:00配信

中日スポーツ

【竜の裏方さん】鈴木義広スコアラー

 「裏方の一日を。元選手で誰がいる?」。そんな読者の問いにドラ番が答える4回連載の第3回は、データ分析から助言までを担うスコアラー。他球団の情報収集を担当する「先乗り」とチームに同行する「チーム付き」の2班がある。昨季まで5年間先乗りを務め、今年からチーム付きとなった鈴木義広さん(37)に醍醐味(だいごみ)を聞いた。

 新型コロナウイルスの感染拡大でスコアラーも活動は休止中。それでも、自宅で過ごす鈴木さんは常に選手のことを考えている。

 「今は『ピッチングデザイン』など野球の本を取り寄せて読んでます。ヒントがあるかもしれないし、相手投手が読んでいるかもしれない。自分の知識と擦り合わせながら勉強してます」

 2014年限りで引退。当時の落合博満GMから「先乗りをやれ。お前はできる」とスコアラー転身を打診された。現役時代のミーティングで資料に線を引いたり、色を塗ったりしている姿を見ていた谷繁監督らからの推薦だったという。

 中部大時代は工学部。数字は好きだった。それでも「慣れるまでは大変でした」。試合を見ながら一球一球パソコンに球速や球種、コースを入力するので精いっぱい。選手の癖やしぐさを見る余裕はなかった。

 「慣れるには予習復習。次はこう考えながら見てみよう。それの繰り返しです」。こつは視野を広げること。「左目でバッテリーを見ながら右目でランナーを見ます」。リリースの瞬間で球種を判別。捕手の構えから逆球もチェックする。

 「意図して投げた球とたまたまそこにいった球とでは違う。球種も落ちる球と曲がる球が1球違えば割合が変わる」。イニングの合間の時間では、打席ごとの配球の違いをメモしたりする。

 試合前のミーティングで使う資料づくりも重要な仕事だ。昨年、選手全員にiPad(アイパッド)が支給されるまでは手間がかかった。中日が自分の担当チームとの対戦カードを迎えると、初戦前は徹夜で100ページ超の資料をまとめ、早朝の新幹線でナゴヤドームへ。到着後に2時間かけて印刷し、配る準備をしていた。

 ミーティングを終えると、試合ではベンチ入りする。首脳陣や選手への助言はもちろん、マウンドの相手投手も観察し、テークバックの違いで球種を見分ける。

 肝に銘じていることがある。「紙の上で野球をやるのだけはやめよう」。スコアラーは数字に頼りがちだが、「試合は生きもの。球場の雰囲気もあるし、選手の性格やメンタルも考えてあげないと」と説明する。

 だからメモは個人ごとにつくる。「(大野)雄大には抑える方法だけを言って、吉見にはやっちゃダメなことを言う。(大島)洋平にはあまり言わず、(平田)良介にはパンと言った方がいい」。選手によって声のかけ方も変える。

 「僕らは選手との人間関係が一番大事。中でもファームから上がってきた子やレギュラーじゃない子は手助けして結果を出させてあげたい。生活が懸かっているから」

最終更新:4/27(月) 7:00
中日スポーツ

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