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[寄稿]板門店宣言と「羊頭狗肉」

4/27(月) 12:29配信

ハンギョレ新聞

現実は羊頭狗肉を無限に再生産している。北の「羊頭狗肉」を根絶するとして国連決議も採択し、経済制裁と軍事的圧迫も加えているが、韓国も米国も「羊頭狗肉」をしながらでは効果はない。

 中国の春秋戦国時代の事だ。斉国で女が男装する風習が広まった。現在の世の中では女性がズボンをはいたり髪を短く切っても構わないことだが、当時の慣習としては受け入れ難かった。政府が出てきた。男装禁止令を下した。しかし、国家の強力な措置にも関わらず男装の風習をなくすのは難しかった。数回の禁止令も失敗した。ついに斉国の優れた宰相である晏嬰にどうすればいいか対策を求めた。彼は斉国の君主の霊公にズバリと言った。「公が寵愛する側室の戎子が男装をして歩いたので広まった風習です。宮廷の女性には男装を許して民間では男装を禁じるのは、それこそ門の外には牛の頭を掲げて中では馬肉を売るのと同じです」。大いに納得した霊公が宮廷の女性の男装から禁じた。すると、男装する風習は消えた。

 「羊頭狗肉」としてよく知られる表現が由来した故事だ。原典の『晏子春秋』では「牛頭馬肉」だったが宋の時代に「羊頭狗肉」に表現が変わったという。羊頭を掲げて狗肉を売るとして、表と裏で異なることを指摘する四字成語として知られている。しかしその由来を見ると、見直さなければならない深い教訓がある。すべての宗教で一貫して投げかける話題でもある。他人との関係で自分自身の心がけはどうであるべきか?他人によくふるまうよう促す前に、自分はよくふるまっているのか?

 羊頭狗肉を突き付けて北を非難するのは造作もないことだ。南北首脳会談で、朝米首脳会談で、非核化を約束したが、なぜ核兵器施設もミサイル施設も廃棄しないのか?2017年以後は核試験を行っていないが、相変わらず核兵器の生産と高度化作業を続けているのも確かだ。同様に長距離ミサイル発射実験も2017年以後は中断しているが、ミサイル性能を改良するための作業は中止されていない。去年と今年の始めには短距離ミサイルと誘導ミサイルの発射実験がさらに増えもした。国際舞台では聞こえのよい言葉だけで非核化を掲げておきながら、内部ではせっせと核兵器を作っているではないか。最近の韓米合同空中演習を口実にどのような措置を取るか心配だ。言葉通り羊頭狗肉だ。

 外側と中身が違うのは米国も大して違わない。トランプ大統領は北に安全保障を提供すると約束したが、北に対する核の威嚇はそのまま維持している。平和と繁栄を願う悲願に応じて新たな朝米関係を樹立するとの約束にも関わらず、過去の敵対関係は全く変わっていない。ポンペオ国務長官は米国には話し合う準備ができていると言いながらも、北に対する制裁措置はむしろ強化している。2月と3月にかけて朝鮮半島上空と近隣で米偵察機の公開活動もますます頻繁になった。ついに去年延期した韓米合同空中演習を20日から24日まで強行したりもした。国際舞台では朝鮮半島の平和体制構築を大々的に約束しては、後では全く異なる行動をしている。言葉通り羊頭狗肉だ。

 韓国は果たしてどうなのか。文在寅(ムン・ジェイン)政権も外側と中身が一致しない行動を続けている。政府は4・15総選挙の翌日の16日に緊急災害支援金を用意するために国防予算を9000億ウォン(約790億円)ほどを削減することにした。国会に提出した第2次補正予算の中からF35Aステルス戦闘機や海上作戦ヘリのような米国製の最先端兵器の購買予算を削ると発表した。刀を打って薬を作って餅をあげるということだ。果たして朝鮮半島の平和経済へと方向を変えるのだろうか?しかし、文在寅政権は以前の保守政権よりも大幅に国防費を毎年増額し、2020年には史上初の50兆ウォン(約4兆4000億円)を超えて編成した。防衛力改善費に配分された16兆6804億ウォン(約1兆5000億円)から7千億ウォン(約610億円)を削減しても、ほぼ16兆ウォン(約1兆4000億円)が攻撃的な武器体系購入に使われる。これに対して南北協力基金は1兆2203億ウォン(約1070億円)が編成されている。南北鉄道連結事業を再開すれば、それなりに韓国内の東海北部線の建設に使われるだろう。その基金まで合わせても統一部の予算は1兆5千億ウォン(約1300億円)にも及ばない。国防予算の9000億ウォンの削減を門の前に掲げても、統一よりは戦争のために30倍以上の金を使っているという現実を覆い隠すことはできないことだ。

 現実は羊頭狗肉を無限に再生産している。北の「羊頭狗肉」を根絶するとして国連決議も採択し、経済制裁と軍事的圧迫も加えているが、韓国も米国も「羊頭狗肉」をしながらでは効果はない。そこで羊頭狗肉という表現ではなく、その故事を振り返る。北を平和と非核化に牽引するためには、韓国と米国が先に変わらなければならないのではないか。

ソ・ジェジョン国際基督教大学政治・国際関係学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:4/27(月) 12:29
ハンギョレ新聞

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