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コロナ困窮者を狙う悪質な手口 「給料の前借り」“超高金利”な手数料のワナ

4/27(月) 11:50配信

沖縄タイムス

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が激減し、生活に苦しむ人々を狙った超高金利の「貸金」サービスが出回り始めている。手口は、手数料を支払えば勤め先の給与分を「前借り」できるというもの。給与ファクタリング(売掛債権回収)と呼ばれ、県外では年利換算で千%前後に上る手数料が発生し、トラブルになった事例もある。急場しのぎになっても、多額の手数料でさらなる困窮を招く可能性もある。県内で表面化はしていないが、消費者問題に詳しい弁護士は注意を促している。(社会部・城間陽介)

 ◆貸金業に該当

 首都圏のあるサラリーマンが給料日前に所持金が底を突き、「給与前借り」を宣伝する業者から、給料日に支払う契約で、手数料を差し引いた分を受け取った。業者は債権回収業であると主張し、貸金業とは認めていない。

 その後、給料日になっても勤務先の会社から支払われず、業者は前借りしたサラリーマンを提訴した。

 東京地裁は3月24日の判決で給与ファクタリングへの初の司法判断を出し、この仕組みが貸金業法、出資法でいう貸し付けに当たると認定。手数料が利息年率換算で850%を超えると指摘した。その上で契約自体が無効で、業者の行為が出資法違反に当たるとした。

 金融庁は地裁判決前の3月5日、給与ファクタリングが貸金業に該当するとの見解を公表している。

 ◆困窮者を狙う

 そもそもファクタリングとは、企業が商品やサービスの提供後、取引先に対し未回収の代金を受け取る権利(売掛債権)を別会社が買い取り、その債権回収を自ら行う金融業務を指す。債権を売却することで早急に資金工面ができる仕組みだ。金融庁によればこの場合、貸金業に当たらない。

 給与ファクタリングは、労働者の給与を債権とみなし、この仕組みを転用したもので、「借金ではない」「保証人不要」「即日現金化」など手軽さをうたい文句にする。利用条件は給与明細、身分証明書の提出のほか、勤め先や家族の連絡先を確認する場合もある。

 法定上限を超えた利息(手数料)を取る悪質な手口をどう見分けたらいいのか。金融庁はその一つとして「取引先(勤め先)には通知しません(または承諾不要)」といった宣伝文句を挙げる。債権回収業者は本来、取引先から直接代金を回収するためだ。

 消費者問題に取り組む高良祐之弁護士は「新型コロナの影響で困窮労働者が狙われやすい環境にある。安易に手を出さず相談してほしい」と呼び掛ける。

 日本弁護士連合会が相談を受け付けている。電話0570(073)567(平日正午~午後2時)。オンラインで24時間受け付けも可能。

 ◆「手数料は審査後に提示」貸金業未登録の県内業者

 県内でも給与ファクタリングサービスを提供している会社がある。本紙が電話取材すると、利用するには「審査のための給与明細と身分証明書の提出が必要」と担当者。手数料は「それぞれ異なるため審査後の案内になる」と答えた。事前に知らせることはできないという。

 実施事業はあくまでファクタリングで「貸金業登録はしていない」とも。給与ファクタリングは貸金業に当たるという金融庁の見解については「知らない」と答えた。

 現状、ファクタリングサービスを利用するのは9割が事業者で、1割程度がサラリーマンという。今後の需要予測を尋ねると、担当者は「増えると思うんですけど…」と言葉少なに話した。

最終更新:4/27(月) 16:31
沖縄タイムス

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