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戦後75年にコロナ禍 戦没者慰霊祭中止 佐賀県内で相次ぐ 感染リスク考慮 遺族ら「せつない」

4/27(月) 12:00配信

佐賀新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、佐賀県内で戦没者の追悼式や慰霊祭の中止が相次いでいる。参列者の多くは重症化の懸念がある高齢者で、感染のリスクを考慮した。「世の中はコロナ一色。せつない」。戦後75年の節目の年に、遺族らは犠牲になった肉親をしのび、祈りをささげる場がなくなり、やるせなさを募らせている。

 鹿島市森の五ノ宮神社に建つ「平和の礎」。北鹿島地区出身者155人の名前が刻まれ、地区住民らが碑の前で例年5月ごろ慰霊祭を行う。区長会などで実行委をつくり、遺族に案内を送って開催してきた。

 区長は「地域で顕彰を続けてきて中止は初めて。やむをえないが、遺族に対し申し訳ない」と話す。遺児の一人は「遺族会の会員も少なくなった。戦後75年というのは、戦争が遠くなるばかりだということ」と現状を憂う。鹿島市主催の追悼式も中止になった。

 同様に、各地で4月~5月末に予定されていた慰霊行事の中止が相次ぐ。嬉野市や玄海町など5市町で中止が決まり、嬉野市福祉課の担当者は「万が一があってならない。苦しい決断になった」と明かす。他に、地区単位で行う佐賀市や武雄市でも中止や規模縮小の対応が広がる。

 佐賀市の県護国神社でも13、14日、戦没者らの霊を慰める春季大祭を開く予定だった。例年は500人規模が集まるが、今年は各地区の代表者ら約20人で1日のみ行った。県遺族会の山口貢会長(81)は「多くの遺族や来賓の参列がかなわず、さみしいものだった。8月15日の日本武道館での追悼式までには終息してほしい」と願った。

 延期して開催を目指すところもある。みやき町では開催を強く望む声があり、町社会福祉協議会は「遺族の多くは高齢で来年、参列できるとも限らない。状況によっては中止もあり得るが、落ち着いた段階で実施できれば」としている。

 戦没者の孫世代らでつくる県遺族会青年部は、佐賀市で6月に行う予定だった研修会を秋に延期した。副部長の古賀千幸さん(60)は「追悼行事は、大変な時代を生き抜いてきた遺児や遺族の苦労に思いをはせる場にもなってきた。仕方ないが、忘れられしまうようでせつない」と語った。

最終更新:4/27(月) 13:57
佐賀新聞

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