米労働省が8日発表した4月の雇用統計(速報値)によると、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数は、季節調整済みで前月比2050万人減となり、第二次世界大戦後で最大の減少幅を記録した。4月の失業率は14・7%と前月(4・4%)から急上昇し、戦後最悪だった1982年11、12月(10・8%)を上回り、30年代の大恐慌時に次ぐ水準まで悪化した。新型コロナウイルス感染拡大によって経済活動が縮小したためで、世界経済をリードする米国の雇用情勢の深刻な実態が鮮明となった。
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米国の就業者数は、リーマン・ショック後の2009年3月に80万人減、終戦直後の兵役解除の影響を受けた45年9月に195万9000人減を記録しているが、今回はこれらを桁違いに上回った。米国の労働力人口は現在、約1億6000万人。およそ8人に1人が4月の1カ月だけで職を失った計算になる。
就業者数は今年2月時点で前月比23万人増と堅調に伸びていたが、3月中旬以降に新型コロナ感染防止のための外出規制や営業休止が広がり、雇用情勢が急転。3月の減少幅も87万人減と高い水準だったが、4月の減少幅はその3月の約24倍に達した。
失業率もリーマン・ショック後の09年10月(10・0%)を大幅に上回り、25%に達したとされる大恐慌時の33年以来の高い水準となった。新型コロナの感染拡大が深刻化する前の今年2月時点では3・5%と、1969年12月と同程度の低い水準を維持していたが、3月は4・4%と17年5月以来の水準に悪化していた。
米国の雇用統計は毎月12日を含む週に集計される。このため、3月の統計は同月中旬から本格化した外出規制の影響が十分に反映されていなかった。4月の集計時点では、全米50州のうち42州が外出規制を発動し、米国民の約9割が規制対象となっており、営業停止を迫られた企業による従業員の一時解雇も広がっていた。金融市場も今回の雇用統計の悪化を織り込んでおり、就業者数の事前予想は約2200万人減だった。
4月中旬以降も失業保険申請件数が2週連続で300万件を超えており、足元の雇用環境はさらに悪化している可能性がある。米議会予算局(CBO)は、20年7~9月期に失業率が16%に上昇すると予測している。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の急停止を受け、米国の雇用情勢が歴史的な水準に悪化した。米労働省が8日発表した4月の雇用統計では、就業者数(非農業部門)は前月から2050万人減少し、失業率は14.7%と1930年代の大恐慌以来の高水準となった。感染予防のための外出規制や営業停止命令で打撃を受ける小売りなどのサービス産業では人員整理や経営破綻が始まっており、経済再開後の雇用回復は困難さを増している。
雇用統計によると、業種別の就業者数は、外出規制の影響を受けやすいレジャー・接客が765万人減と突出して落ち込んだほか、介護ヘルスケアが208万人減、小売りが210万人減だった。主要州で食品や金融、ライフラインなど生活に必須な事業以外が制限されたこともあり、建設業は97万人、製造業は133万人減少した。
新型コロナ感染拡大を受け、4月中旬時点で全米50州のうち42州が外出規制などで経済活動を制限していた。その後、感染者の増加ペースが鈍化したことで、約30州が外出規制や営業停止命令の段階的な解除を始めており、米金融大手モルガン・スタンレーは「米経済は4月下旬に底打ちした可能性が高い」との見方を示している。
ただ、多くの州政府はレストランや小売店の営業再開の条件として、入店客数を一定水準に制限するよう求めている。米国民の新型コロナ感染への警戒感も根強く、経済活動が「コロナ以前」に回復するには時間がかかる見通しだ。位置情報サービスの米ユナキャストによると、米小売店の今月3日までの1週間の来店客数は前週から約15%増加したが、前年の水準を約4割下回っている。
経済停滞が長期化する中、経営悪化の進む米企業は再雇用を前提とする「一時帰休」にとどまらず、従業員を解雇する方向にかじを切り始めた。米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズは全従業員の約14%に当たる約3700人の人員削減を発表した。同業のリフトも従業員の17%に相当する約980人を解雇する方針だ。また、旅行需要の激減を受け、民泊仲介大手の米エアビーアンドビーは従業員数の25%に当たる1900人の削減を実施する。
さらに、小売りやサービス業では大手企業の経営破綻が起き始めた。米高級百貨店ニーマン・マーカスは7日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をテキサス州の裁判所に申請した。今月に入り、米衣料品チェーン大手Jクルー・グループや米スポーツジム運営大手ゴールドジムなども相次いで破綻している。
米議会予算局(CBO)は失業率が7~9月期に16%に悪化した後、年末までに11.7%まで回復すると予測している。しかし、米経済の再開が順調に進まず、企業の人員整理や経営破綻が拡大した場合、失業率は高止まりする恐れがある。【ワシントン中井正裕】
◇キーワード・米雇用統計
米国の経済指標の中で特に注目を集める統計で、米労働省が原則として毎月第1金曜日に、前月の数値を発表する。景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数の増減と、雇用情勢の良しあしが一目で分かる失業率への注目度が高いが、平均時給の動向なども併せて公表され、雇用関連の幅広いデータを網羅している。速報性にも優れているため、金融市場も毎月の発表数値を注視しており、事前予想と大きく異なる結果が出ると、株価や為替相場が大きく変動。それに伴って米連邦準備制度理事会(FRB)の政策運営を左右することもある。また、雇用創出に成功しているかどうか、政権の経済政策を評価する通信簿の役割も果たしている。
最終更新:5/8(金) 23:06
毎日新聞






























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