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列車のヘッドライト 形が変われば表情も変わる 時代ごとの流行も 今後はどんな顔に?

5/12(火) 16:12配信

乗りものニュース

自車の存在を示すため 頭上についていたヘッドライト

 鉄道車両のヘッドライトは、前方を照らすよりも「遠くから列車の存在を認識させるための灯り」としての役割がメインです。

【写真】駅で電球交換する様子

 鉄道車両はクルマと異なり、前方に障害物があっても避けられないので、早くから存在を認識してもらう必要があります。そのためには、できるだけ高いところに掲げたほうが良いので、当時の運輸省令でも「夜間の前部標識として前灯を上部に1個掲出する」と定められていました。

 ライトを車体上部、人間にたとえると「おでこ」の位置につけていたのはこのような理由からで、戦後しばらくまで路面電車や一部のローカル私鉄を除く鉄道車両は、原則として「ヘッドライトは頭上」という時代が続きました。

 この“常識”を覆したのが1954(昭和29)年に登場した営団地下鉄(現・東京メトロ)300形です。赤いボディに銀色のサインカーブが入ったモダンな外見もさることながら、ヘッドライトが頭上から窓の下に降りふたつ灯され、正面の「表情」もこれまでにないものでした。

運転台が上になった代わりにヘッドライトが窓下へ

 長いトンネルを走る地下鉄において、ヘッドライトは重要な機器です。万が一電球が切れたら運行を中止し、速やかに電球を交換しなくてはなりません。このとき電球がふたつあれば、片方が切れても、もう片方を灯せばトンネル内で救援を待たずに最寄り駅まで運転を継続できます。さらに、頭上ではなく窓下にライトがあれば、駅での電球交換も容易です。

 このように営団300形の表情は、地下鉄という環境に適したデザインとしての結果でしたが、そうした実用面での効能とは関係なく、ヘッドライトを窓下に装備するスタイルは、これをきっかけに大流行します。

 国鉄(当時)では、長距離を運転する場合、運転台は高いところにあったほうが運転士の疲労が少ないという研究結果から、また私鉄では、踏切事故の際に乗務員を守るため運転台の位置が高くなり、入れ替わりに、ヘッドライトが頭上から窓下に降りました。「横長の窓と腰部のライト」という表情が、以降の流行となります。

 一方で、関西私鉄を中心に頭上ライトを支持する事業者も少なくありません。市街地で高速運転を行う路線では、遠方からの視認性に勝る頭上ライトが、保安面からも有利だからといわれています。

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最終更新:5/12(火) 19:13
乗りものニュース

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