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在宅ワーク中の感染は労災?補償は?リモート長期化で見逃されがちな3つの労働リスク

5/13(水) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

新型コロナウイルス対策として政府や自治体の要請でリモートワークに踏み切る企業が増えている。

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とはいっても、その中には今までテレワークを導入したことのない企業も多い。また、在宅で仕事をするのも初めてという“にわか在宅勤務者”も多く「書類が持ち出せない」「通信環境が悪い」「家族や子どもがいる中で仕事に集中できない」といった混乱も起こっている。

メールだけ見て仕事していない「オジさん」も

「自宅待機」ではなく「在宅勤務」である以上、当然、職場と同じように時間管理の下で仕事をすることが求められるが、会社も非常事態とあって上司も目先の業務に追われ、部下をちゃんと管理している人も少ないようだ。広告業の人事部長は現状をこう語る。

「事業遂行にかかわる問題が相次いで発生し、幹部社員は会議やその対応に追われている状況です。そのため部下が在宅で真面目に仕事をしているのか、寝ているのか、遊んでいるのか、時間管理を含めてちゃんとマネジメントできているとは思えません。以前から“働かないオジさん”と言われていた人の中には、毎日メールだけを見て、ほとんど仕事をしていない人もいるようです」

緊急事態宣言下とはいえ、ほぼ野放し状態の企業もあるようだ。

労働基準法は在宅勤務でも適正な時間把握を求め、在宅勤務のルールや要件は就業規則などに明記し、社員をしっかりとマネージする必要がある。しかし急遽、在宅勤務に踏み切った企業の中にはルールの整備や社員への周知をどこまで達成できているのか疑問が残る。

在宅勤務の長期化で生まれる3つの労働リスク

また、ルールはあっても従来は週1~2日、月5日程度の在宅勤務しか認めてこなかった企業も多く、これほど長期化することは想定していなかっただろう。在宅勤務の長期化によって社員の健康と安全にかかわる想定外の労働リスクが浮上している。

1.感染リスクでも労災は?

1つは、在宅勤務中の新型コロナウイルスの感染リスクだ。政府が要請する出勤者7割制限によって公共交通機関での移動が抑制されているが、それでも社員が感染を免れるわけではない。

社員に不要不急の外出をしないように周知していても、買い物やジョギング中など外出先での感染の可能性もある。さらに最近では、感染経路が不明な市中感染の蔓延によって同居する家族の感染による家族内感染のリスクも報じられている。

もし、本人が感染し、入院したら所得は補償されるのか。職場や業務中に病気に罹患した場合、労働災害として労災保険給付の対象になる。労災認定されると、治療費や入院費用が全額給付されるうえに休業中は賃金の8割が給付される。後遺症が残ると一時金や年金も出る。死亡すれば遺族年金も出る。これは在宅勤務でも同じだ。

ただし労災の認定は、業務に付随する行為が原因で発生した災害に限定される。プライベートな行為で発生した災害は労災と認められない。新型コロナウイルスに関する厚生労働省のQ&Aでも、

「業務に起因して感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象になる」とし、「感染経路が判明し、感染が業務によるものである場合については、労災保険給付の対象になる」

と述べている。

通常の勤務であれば、通勤途上あるいは営業先や職場内での感染であることが判明すれば労災保険で補償されるが、在宅勤務中の感染は業務外とみなされ、労災保険の対象とならない可能性が高い。

そうなると入院中や自宅療養中の給与は支給されないことになる。一般的には加入している会社の健康保険から平均の標準報酬日額の3分の2の傷病手当金が支給される。ただし、仕事を休み始めた日の4日目から支給となる。

それでも労災保険の賃金8割支給よりも見劣りする。在宅勤務中の社員が感染すれば、会社にとっても風評被害のリスクが発生する一方、社員自身も所得減という負担を強いられる事態になる。

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最終更新:5/13(水) 17:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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