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若い頃は似ていないと思っていたけど… 母の音楽好きと父の“カタブツ具合”、両方とも自分の遺伝子にある 織田哲郎・あれからこれから

5/13(水) 16:56配信

夕刊フジ

 【織田哲郎 あれからこれから Vol.67】

 今、楽天市場の母の日PRのCMで『ゆめいっぱい』が流れています。1990年にアニメ『ちびまる子ちゃん』の放送が始まったとき、オープニングが『ゆめいっぱい』で、エンディングは『おどるポンポコリン』でした。

 私は『ちびまる子ちゃん』のテーマ曲を依頼されて、まず原作の漫画を全部読み、そのイメージから対照的な2曲を作りました。あの漫画の持つピュアな部分、ノスタルジックな部分をつめ込んで作ったのが『ゆめいっぱい』、そしてとても変だったり毒があったりという部分をふくらませたのが『おどるポンポコリン』でした。

 作り手としての正直な話をすれば、『ゆめいっぱい』のほうが真面目に作っている分、思い入れがありました。というと『おどるポンポコリン』は不真面目に作っているのか、と叱られそうですが、ポンポコリンのほうはある意味徹底的に遊んでいます。

 生真面目に取り組んだものより、どこか軽い意識で作った、肩の力が抜けているもののほうが、人の評価につながりやすかったりもするのです。でも今回、こうしてCMで使っていただいて、とても評判が良いようなのですごくうれしいです。

 90年でしたから、もう30年前の歌なんですね。もともとあの曲の持つノスタルジックな部分が、この30年の間に皆さんの記憶の中でより熟成されて、いい味わいを醸しているのかもしれません。

 ところで『ゆめいっぱい』を歌っていた関ゆみこさんは、実は私のイトコなのです。私が連れてきたのではなく、オーディションで歌のとてもうまい子がいる、ということで書類を見せてもらったら、なんと私のイトコだったのです。

 今回、本当に久しぶりにCMのために歌ったようですが、やはりいい声をしているなあ、と思いました。

 関ゆみこさんの母親と私の母親が姉妹で、2人とも歌や楽器がとても好きだったのです。私の父親はとにかく真面目なカタブツでした。若い頃の私は、自他ともにそんな父親とはまったく似ていない、と思っていましたが、この年になってみると、母親の音楽好きと父親のカタブツ具合が、確かに両方とも自分の中にあるなあと、遺伝子の不思議さを感じます。

 そんな私の母親は去年亡くなりました。死因は老衰ですから、ハッピーな大往生といっていいと思います。とはいえ、やはり母親が亡くなるということは、自分の心のどこかに、なにやらずっと塞がらない穴が開いたような気がします。

 そんなわけで、皆さん母の日には、ぜひ一言何か感謝の気持ちを伝えてあげてください。

 いつかは、と思っているうちに言えないままになってしまうこともあるので。

 ■織田哲郎(おだ・てつろう) シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。79年のデビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。TUBEの『シーズン・イン・ザ・サン』で作曲家として注目される。

 現在「オダテツ3分トーキング」をYouTubeで配信中(毎週土曜日更新)。

最終更新:5/13(水) 16:56
夕刊フジ

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