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AZKi 仮想世界の伴走する歌姫。“ポップ”“ロック”という二面性で、幅広い音楽世界を体現

5/13(水) 13:01配信

エムオンプレス

魅力的なコンテンツを発信し続けるVTuber(バーチャルYouTuber=3DCGのキャラクターによるYouTuber)は、いまや日本のエンターテインメントに不可欠な存在。今年ついに1万人を超えたVTuberのなかから、精力的に音楽活動を行っている“アーティスト”を紹介します。“VTuberの音楽活動って、どんなことやってるの?”というビギナー方も大丈夫。優れたシンガー、クリエイターが集結しているバーチャル・アーティストの世界へようこそ!

【声を枯らして】Just Be Friends -piano.ver- 歌ってみた AZKi【叫んだ】

フルネームは「Virtual Diva AZKi」。つまり彼女は、音楽(ボーカル)に特化したVTuberだ。

リアルな世界から仮想世界へ転生した歌姫、AZKi。誕生日は7月1日で、バーチャル高円寺某所のマンションに住んでいる永遠の18歳――というのが彼女のプロフィールだ。活動コンセプトは“仮想世界から音楽を通じて一人一人と繋がりたい”。“時間と場所を飛び越えて出会った才能とともに新しい音楽世界を生み出すため”、2018年11月から活動をスタートさせた。

最初の投稿はボカロP・Dixie Flatlineの名曲「Just Be Friends」(-piano.ver-)。一緒に歩んできた恋人との切ない別れを叙情的に映し出すボーカル、そして、和テイストのビジュアルと動画は、ボカロ系のファンを中心に大きな話題を集めた。さらに八王子Pのエレクトロ・ダンス・チューン「Sweet Devil」(“先生に教えてもらいながら、ダンスの練習がんばりました”という映像がかわいい)、アニソン初挑戦となる「only my railgun」(fripSide/アニメ『とある科学の超電磁砲』オープニングテーマ)などを続けて投稿。切ないバラード、派手なダンスチューン、アッパー系のアニソンとタイプの異なる楽曲を個性的に表現し、シンガーとしての幅広さをアピールした。

最初のオリジナル曲「Creating world」が発表されたのは、2018年の年末。<この扉の向こうが未開の可能性なら/現実を動かせるの?>というフレーズから始まるこの曲は、バンドサウンドと近未来的なエレクトロが融合したナンバーだ。作詞・作曲・編曲は、流歌(ルカ)。アニメの主題歌、劇伴、キャラクターソングなどを数多く手がけているクリエイターだ。

歌詞のテーマは“新しい世界の創造”。バーチャルとリアルの垣根を超え、たくさんの人々の思いを結び付けながら、まだ誰も見たことがない世界を生み出すーー「Creating world」のメッセージ性はそのまま、AZKiというプロジェクトのコンセプトにつながっている。

AZKiのオリジナル曲は、“AZKi WHiTE”“AZKi BLaCK”の二つのサイドに分けられている。前者は爽やかさ、可愛さ、可憐さなどを表現したポップナンバーやバラードが中心。後者は攻撃的なサウンドと強い意思を感じさせるロックテイストが軸。音楽的な方向性、ボーカルのスタイルを一つに決めず、“ポップ”“ロック”という二面性を持つことで、幅広い音楽世界を体現しているというわけだ。(ちなみにAZKiは“WHiTE”を“白あん”、“BLaCK”を”黒あん”と呼んでいます)

“WHiTE”を象徴する曲の一つが、「フェリシア」。切なさ、甘酸っぱさをたっぷり含んだメロディが印象的なポップチューンだ。幼なじみ同士の、お互いに意識しながらも距離を縮められないでいる淡い恋愛模様を描いた歌詞も魅力的。10代ならではの揺れる感情を(まるで少女マンガのように)描いたこの曲は、AZKiの少女性、アイドル性をストレートに感じさせる楽曲と言えるだろう。

AZKi WHiTEの初のバラードナンバー「Starry Regrets」もファンの間で支持されている楽曲。壮大なストリングスと打ち込みのビート、ドラマティックな旋律とともに綴られるのは、(今はいなくなってしまった)大切な人に対する、“もっと早く、自分の気持ちを伝えておけばよかった”という後悔。すべてのフレーズに強い思いを込めたボーカル、浮遊感のあるハーモニーからは、AZKiの豊かな表現力が伝わってくる。

“BLaCK”の楽曲は、SCRAMBLES(BiSH、EMPiREなどを手がける松隈ケンタを中心としたクリエイターチーム)のメンバーが制作。最初のシングル「I can’t control myself」は、静寂が漂うイントロ、一瞬でトップスピードに達するAメロ、そして、解放的な気持ちよさが溢れ出すサビまで一気に駆け抜けるアッパーチューン。タイトル通り、自分をコントロールできなくなるほどの激情を描き出したボーカルは、ロックシンガーとしてのAZKiのポテンシャルを証明している。

また<非合法な生き方/素晴らしい世界>という刺激的なワードで始まる「シットデイズ」も人気曲、不穏な響きのストリングスと爆音ヘビィロックがぶつかり合うナンバー。アグレッシブな強さと壮大なスケール感を併せ持ったメロディライン(ラップも披露!)が素晴らしい。

2019年11月には、1stフルアルバム『without U』をリリース。2019年の年末にはキャリア最大規模となる4thワンマンライブ『REPEAT THiS LiFE WiTH U』を池袋harevutaiで開催するなど、活動のスケールを着実に拡大させてきた。さらに2020年3月以降、「mirror」「黒鉄の守り人」「Eternity Bright」「光」「猫ならばいける」と次々と新曲を発表、5月下旬から新曲3曲をデジタル配信することが発表されるなど、ハイスピードで進み続けている。ポップとロックの両軸で突き進むAZKiは、バーチャルシンガーという枠組みを超え、J-POP/ロックシーンにもアピールできる可能性を十分に秘めていると思う。

文 / 森朋之

AZKi 仮想世界の伴走する歌姫。“ポップ”“ロック”という二面性で、幅広い音楽世界を体現は、WHAT's IN? tokyoへ。

最終更新:5/13(水) 13:01
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