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ウイルスに考えさせられる「いきものとはなにか」

5/13(水) 20:30配信

ギズモード・ジャパン

ウイルスとは、なにか。

世界中が新型コロナウイルスを封じ込めようと模索しているいま、ウイルスがほかの生命体と根本的に異なる点が次々と浮き彫りになりつつあります。

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ウイルスは従来の「いきもの」の定義に当てはまらない、とも言えるでしょう。それだけ、やつらはわたしたちのような細胞性生物とは一線を画した存在なのです。

不可解な存在

姿の見えない敵と戦うほど恐ろしいことはありませんが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルス(正式名はSARS-CoV-2)との戦いは、まさにそのような苦戦を強いられています。

もちろんこれが初めてのパンデミックではありません。これまでも人類はウイルスの脅威に幾度となく直面してきました。人間にとって、ウイルスとは排除したくてもしきれない自然の摂理だと言えるのかもしれません。

なんとも不気味な存在であるウイルスは、わたしたちが思っているところの「いきもの」とは折り合わない特徴をいくつも持っています。そもそも、

「いきもの」とはなんなのか。「いきる」とはどういうことなのか。

これらの根本的な問いに対する科学者の見解が分かれているため、ウイルスが「いきもの」なのかどうかについても見解が分かれているのです。

「いきもの」の定義

たとえば、かの「猫」で有名な物理科学者のシュレーディンガーが、著書「What Is Life?(直訳:生命とは何か?)」において

いきものとは、エントロピー(無秩序・乱雑さを表す熱力学の指標)に抵抗するものすべてである

と定義したのは1944年です。

なにもしないままだと宇宙の物質やエネルギーは拡散し、無秩序と崩壊の一途をたどるはずのところを、その流れに抗って営みを継続していくものが生命体なのであって、物質に命が宿るためには「同じ状況に置かれた無生物よりもずっと長い間その営みを続けていく」必要があると書いています。

興味深い考えではありますが、熱力学の第2法則を生命体の定義に当てはめたに過ぎず、残念ながら定義の範囲が広すぎてあまり定着しませんでした。

時を経て、2010年にカナダの生物学者・Peter MacklemとAndrew Seelyが提唱したいきものの定義とはこのようなものでした。

自己完結していて、自己制御・自己編成できて、生殖可能で、開かれた熱力学的ネットワークの構成要素として挙動しており、また構成要素同士が互いにつながり合い、植物・動物・菌類・または細菌類として秩序と無秩序の相転移において安定性と適応性を兼ねた複雑な領域に存在するもの

…わけがわからないですよね。

「秩序と無秩序の相転移において」なんて、科学というより謎めいたロックバンド「Tool」が書いた歌詞みたい、正直なところ。

一方ではNASAも、宇宙生物学者が万が一地球外生命体と出くわしたときに備えて独自に生命を定義していますが、こちらはたいへん簡潔でよろしく、

自立している化学的システムのうち、ダーウィン的進化を遂げられるもの

となっています。わかりやすいのはいいんですが、やや単純すぎるような気がしないでも。

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最終更新:5/13(水) 20:30
ギズモード・ジャパン

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