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日本のコロナ感染者数は本当に少ないのか? 議論には正しいデータが必要

5/13(水) 11:50配信

THE PAGE

 諸外国と比較して、日本における新型コロナウイルス感染者数が低く推移していることが注目を集めています。「検査をしていないだけで実際には多数の感染者が存在している」との指摘もありますが、一方で、日本特有の生活様式が感染拡大を防いでいるとの見解も出ています。日本の感染者数についてはどう考えればよいのでしょうか。

貧弱なPCR検査体制

 日本国内に何人の感染者が存在するのかについて正しい情報を得るためには、一定のサンプリング調査を行って市中感染率を推定することが必須要件です。しかし、日本は先進各国や中国、韓国と比較してPCR検査の体制が極めて貧弱であり、いまだに広範囲な検査を実施できていません。このため正確な感染率を推定できないという状況が続いています。

 しかしながら、仮に欧米と同水準まで感染が拡大しているのだとすると、病院に運ばれる重症者や死亡者の数も多いはずですから、少なくとも死者数という点において諸外国より少ないのは事実でしょう。新型コロナウイルスによる肺炎で死亡した人を一般的な肺炎と診断した可能性も残されていますが、ここまでの死者数の差を説明することはできません。

衛生概念の高さが感染拡大を防ぐ?

 一部では、うがい、手洗い、靴を脱ぐといった日本人の生活様式が感染拡大を防いでいるとの見解も出ていますが、こうした情報は単なるイメージである可能性も高いですから、鵜呑みにするのは危険でしょう。まず、靴を脱ぐという生活様式は日本だけのものではなく、アジアや中東など多くの国でみられる習慣です。また、ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社が行ったアンケート調査によると、通勤電車で会社に出社した人の中で、出社後に毎日手洗いをしている人は55.6%しかおらず、しかも18.3%はまったく手洗いをしていませんでした。

 もし日本人の衛生概念が他国よりも本当に高いのだとすると、インフルエンザなど通常の感染症についても大幅に罹患者が少ないはずです。しかし日本では毎年推定約1000万人がインフルエンザに感染しています。米国は約3000万人と推定されていますから、日本で特段感染症が少ないというわけではなさそうです。加えて言うと、職場での消毒習慣はむしろ欧米の方が定着していたという事実も合わせて考慮しておくべきでしょう。欧米人とアジア人で罹患しやすさが異なるとの指摘もあるようですが、科学的な検証が行われたわけではありません。

 いずれにせよ、主要国の中で、正確な市中感染率を推定できていないのは日本だけであり、正しいデータがなければそもそも議論になりません。できるだけ早く広範囲な検査を実施し、いったい何人が感染しているのか正確な情報を得る必要があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5/13(水) 11:50
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