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二人三脚47年 とんかつ店「三象」閉店 福山、コロナ影響 決断早める

5/13(水) 19:07配信

山陽新聞デジタル

 広島県福山市延広町で長年愛されてきたとんかつとカレーの店「三象(さんぞう)」が3日、閉店した。東京で修業を積んだ桜田修一さん(79)が妻充子さん(76)と二人三脚で切り盛りして47年。80歳の区切りまで、と頑張ってきたが、新型コロナウイルスの影響もあり、決断を早めた。桜田さんは「常連さんに支えられてこそ続けられた。感謝の気持ちでいっぱい」と話している。

 開業は1973年2月。東京・中野にあったとんかつ店で20歳の頃から10年ほど働いていた桜田さんが、「ふるさとにとんかつ屋を」と帰郷してオープンさせた。店名は中野の店と同じにした。とんかつの命ともいえる油は47年間つぎ足しながら使ってきた。

 桜田さんがとんかつを揚げ、充子さんが出来上がった品を運ぶ―。東京時代の味を再現した薄い衣のとんかつは開業から多くの人を喜ばせてきた。大きな皿に家庭的な味のカレーとご飯、とんかつが盛られたボリュームたっぷりのカツカレーも人気だった。

 日々一心に厨房(ちゅうぼう)に立ち続けてきたが、4月から新型コロナの影響が出始めた。売り上げは激減。感染防止のため、ドアノブを消毒したりお客さん同士の間隔を空けたりすることが必要なのは分かっていたが、何かこの店にそぐわない気がした。事前に予告することなく、3日の朝、夫婦で話し合って閉店したという。

 つぎ足してきた油は閉店を決めたその日、全て捨てた。現在は店の片付け作業に追われる日々。ドアを開けて作業しているとふらっと立ち寄り、感謝を伝える人もいるという。閉店を惜しむ常連客にとんかつをリクエストされることがあっても、もう作らないと決めている。

 「涙声になりながらこれまでの思い出を話してくれるお客さんもいた。こちらの方こそありがとうと言いたい」と桜田さん。地域に根付いてきた名店は、これからもずっと市民の心に刻まれる。

最終更新:5/13(水) 19:44
山陽新聞デジタル

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