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休業要請解除されたけど…にぎわい戻る?不安抱える歓楽街

5/13(水) 10:35配信

西日本新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、宮崎県がスナックやバー、パチンコ店などを対象に出していた休業要請が11日、解除された。宮崎市の歓楽街「ニシタチ」では、多くの飲食店が感染への予防措置を講じて営業を再開したものの、平時のにぎわいを取り戻すにはこれから。店の経営者からは先の見えないウイルスとの闘いを憂慮し、今後の経営を心配する声が聞かれた。夜のニシタチを歩いた。

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 午後7時。サラリーマンや若者でにぎわう時間だが、人通りは戻っていない。各店は玄関を開け放って営業再開をアピールしているが、座って飲食する客の姿は少なかった。飲食店関係の男性は「市民らのウイルスへの警戒は緩んでいない」と話した。

 県は営業再開の条件として、換気の徹底や客同士の間隔を空けるなど、県独自の「強い警戒態勢」を店側に求めた。店側も、従業員の検温▽換気の徹底▽県外からの来訪者や体調不良の客などの入店自粛要請▽店内の消毒―を徹底する。

休業や廃業する店も

 同9時。ニシタチの外れの雑居ビルにあるスナックが開店した。女性経営者(54)はこの道15年。4月25日から休業していた。

 店は窓が開かないため排煙設備を開放。エアコンの風で室内の空気を循環させ、換気に気を配る。カウンターなど2カ所に消毒液を置く。

 女性によると、客が減り始めたのは3月上旬。宮崎市で初の感染者が見つかってから「自粛の雰囲気が広がり始めた」という。同下旬には、さらに客足が遠のいた。なじみ客がほとんどの店だが、そうした人たちも来なくなった。「送別会の予約もキャンセルになった。開店休業の状態になった」

 周囲では4月ごろから、休業や廃業する店が出てきたという。女性は窓のカーテンを半分閉めて営業を続けた。「営業していることが、自粛ムードに水を差しているように思われるのが怖かった」と話す。

手を付けた「100円玉貯金」

 宮崎県は毎年2月にプロ野球やサッカーJリーグのキャンプの季節を迎え、関係者がニシタチを訪れる。女性の店にもなじみの球団関係者たちが来店した。売り上げが落ちた3月は、その恩恵で何とかやりくりした。しかし、4月になり店の運転資金、生活費ともに厳しくなった。

 女性は以前からためていた「100円玉貯金」に手を付けた。「蓄えがなかったわけではないが、それを取り崩すとあっという間に使ってしまう気がして…」。100円玉を郵便局に持ち込んだ。約7万円は店の家賃などに消えた。休業中は毎夜店に行き、エアコンや台所の掃除をしたという。

 金融機関から低金利で運転資金を借りた同業者もいる。女性は「借りるつもりはない」という。「借金するよりも、自分の蓄えで耐えたい」という。

   ◇   ◇           

 2010年の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の発生では、非常事態宣言を出した宮崎県。この時もニシタチは大きな打撃を受けたが、今回はそれ以上の経済損失を懸念する地元の経済関係者もいる。県では4月12日以降、新たな感染者は発生していないものの、感染の終息が見通せない中で警戒を緩めるわけにはいかない。

 ニシタチの活気が完全に戻るのはいつになるのか。女性経営者は「ウイルスにおびえている間は客足は戻らないと思う。先は見えないが、こんな状況でも年末の忘年会時期までは店を続けたい」と前を向いた。(佐伯浩之)

最終更新:5/13(水) 10:35
西日本新聞

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