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[寄稿]ポストコロナ、4つのシナリオ

5/13(水) 17:48配信

ハンギョレ新聞

 韓国は依然として新型コロナウイルスによる危機の真っ只中にあるのに、社会各界では「ポストコロナ」に対する関心が熱い。それは恐らく前代未聞の現状に内在する深刻な不確実性のせいだろう。ユルゲン・ハーバーマスは最近のインタビューで、今確実なのは、我々の無知について、我々が不確実性の中で生きなければならないということについて、これほど多くを知ったことはこれまでなかったという事実だけだと語った。

 かつての秩序が揺らぎ、新たな秩序はまだ確立されていない危機の瞬間は、相反する様々な未来の潜在性が共存し競合する不確実性の時間でもある。事態の初期には、政府と社会の迅速かつ積極的な対応そのものが重要だったとすれば、これからは危機対応の具体的な内容が、それぞれどのような未来のシナリオを内在しているのかを見極め、その中から最善のシナリオを現実化するための代案を選び出さなければならない。シナリオは4つに分けられる。

 一つ目は、既存の体制が「強化」されるシナリオである。コロナ危機は世界的だが、各国はそれぞれの制度と文化に沿った反応を示すことで既存の体制を深化させうる。第4次産業革命論で著名なクラウス・シュワフは、短期利益と競争を追求する米国型の資本主義モデルがコロナ危機において企業と労働者を保護することに失敗し、不平等が深まるのとは対照的に、長期的・パートナー的利益を重視する欧州型の社会モデルは既存の包容的制度をより活性化していることを強調した。

 二つ目は「反動」の力が強まるケースだ。国家主義、集団主義、排他的民族主義などは「新自由主義グローバル化」の病理的副産物程度のものとみなされていたが、今や感染症の恐怖の中で急速に台頭しつつある。多くの民主主義社会においても、人々は封鎖し、監視し、追跡する国家を目撃している。国際秩序においても保護貿易主義と自国優先主義が台頭する。古い過去の遺物だと信じてきたものが、未来の新しい支配者となるのだ。

 三つ目は「復古的革命」の道である。これはアントニオ・グラムシが「受動的革命」とも呼んでいる事例で、既存の支配階級が危機克服の前衛の役割を果たしつつ、新秩序の形成を主導するのである。ナオミ・クラインが「災害資本主義」という概念で説明したように、災害は企業が自らの古い企画を一気に実現しうる機会だ。コロナ危機中に浮上したデジタル社会の未来は、既存の支配秩序をさらに苛酷にする復古的革新となり得る。

 最後のシナリオは「進歩的改革」の道だ。社会全体の危機の中で、これまで排除され疎外されていた社会集団を共同体の構成員として統合し、ひいてはそうした社会統合的原理を中心とする制度によって社会のパラダイムを革新するケースだ。1930年代のスウェーデンは、世界的な大恐慌と安保・民主主義の総体的な危機に直面し、一時的な対策に止まらず福祉資本主義の新しいパラダイムを創案することによって、世界の代案モデルとして登場した。

 韓国はどんな道を行くのだろうか。政府や自治体はこの間、さまざまな企業支援策と共に、雇用維持支援金、雇用安定資金、失業手当など、従来の制度を活用した国民生活対策、緊急災害支援金や自治体による基本所得など、新たな政策を打ち出してきた。しかし今回の危機は、韓国労働市場の不平等と社会保障制度の膨大な死角地帯を露呈したことから、その弱点が改善されなければ、危機が去った後には過去の「ヘル朝鮮」体制がさらに深刻化する可能性がある。

 さらに、一部では柔軟化、無人化、外注化などの資本の企画を加速させ、現在の危機を企業式労働改革のチャンスにしようという試みが「コロナ対策」として美化されている。このようにデジタル資本主義の搾取的要素が全面化すれば、その混沌の場においては排他的民族主義や人種主義的嫌悪といった反動の力が大きくなる恐れがある。今の我々には、韓国が「K-モデル」として模範国となったという性急な自負心ではなく、コロナ危機で浮き彫りになった韓国社会の階級構造とセーフティネットの弱点を補完し、社会全般の体力を強化する、内実の伴った改革が必要だ。

 ノーム・チョムスキーは、コロナ危機は天災ではなく人災だと強調した。SARS、MERSなどを経て多くの人々が大災害を予見したものの、「野蛮な資本主義」の利潤追求論理のせいで共同体の安寧のための行動は取れなかったということだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が去った後も、グローバル化した危機は繰り返されるだろう。個人の努力と市場論理では防げない危険に備える社会的安全装置で武装しなければならない。今こそそれをやるべき時だ。
シン・ジヌク|中央大学社会学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:5/13(水) 17:48
ハンギョレ新聞

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