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東急田園都市線の顔「東急8500系」を振り返る 半世紀を走った銀の車両 車内には扇風機

5/13(水) 16:13配信

乗りものニュース

登場から45年 多摩田園都市の象徴的な存在 東急8500系

 東急8500系電車は、多摩田園都市の成長期、1975(昭和50)年に誕生して以来、2020年現在も東急田園都市線を走り続けています。いまでは地方鉄道や海外に転出した仲間もいます。しかし、45年以上も登場時の路線で活躍している車両は珍しく、驚きに値します。

【写真】レア色? 車体帯が青い8500系

 もっとも、近年に登場した電車に比べて見劣りするところもあります。車内でいまだに扇風機が首を回している様子はレトロ感があります。「次の駅はどこかな」と見上げても、乗降ドア上にモニターがないのでわかりません。そんなことは当たり前だったのに、モニターのある電車に慣れてしまったせいか、情報が少ないと不安になります。地下鉄トンネルの向こう側からは「古い電車が来たな……」と思われそう。とはいえ2022年度までに引退するといわれています、どうか優しく見守ってほしいと筆者(杉山淳一:鉄道ライター)は思います。

 思い起こせば、8500系が走り始めたころ、小学生の筆者はピカピカ車体に赤い帯の8500系が大好きでした。なぜなら、この車両には必ずクーラー(冷房)が付いていたからです。当時から汗かきだったので、8500系が来るとラッキーと思いました。のちの資料で、一部の車両はクーラーがなく、カバーだけ設置したとありました。幸いなことに、筆者が乗ったのはすべて冷房車でした。

 それから10年後、高校時代は新玉川線(現・田園都市線の渋谷~二子玉川間)で8500系に乗って通学しました。同時期に大ヒットドラマ『金曜日の妻たちへ』(TBS)が始まりました。舞台は多摩田園都市、新興住宅の生活ぶりを描き、随所に8500系電車が登場しました。地味な車体ですが、当時はステンレスシルバーの銀色車体も珍しく、高級感を漂わせていました。あの頃、8500系は東急電鉄のエースでした。

ステンレス車体 省エネ車両の完成形 さらに地下鉄用に仕様変更

 8500系は、1969(昭和44)年に誕生した東急8000系電車の改良車種です。ベースとなった8000系は東急電鉄初の大型車両、20m級片側4扉を採用し、車体はすべてステンレス製でした。東急電鉄はステンレス車体採用の先駆けで、1962(昭和37)年にはオールステンレス車体の7000系電車をデビューさせています。

 8000系は世界で初めて、加速と減速がひとつのハンドルで操作できる「ワンハンドルマスコン」と、電力ロスを抑え、精密な制御が可能な「他励界磁チョッパ制御方式」を採用しています。ブレーキ装置は最先端の電気指令式、回生ブレーキという、ブレーキ時に発電して電力を架線に返す仕組みもありました。車内の電源は、従来の「直流電源で交流発電機を回す」から「インバータで直流を交流に変換する」になっています。当時の最新鋭技術をふんだんに使った電車です。

 8000系は、ほぼ全線が地下区間となる新玉川線に向けて製造されました。ATC(自動列車制御装置)を採用し、信号は、見通しの悪いトンネル内で見落とす恐れのある線路脇の従来型から、運転台に表示する方式に変わりました。8000系は新玉川線の開業に先駆けて東横線で運行を開始し、輸送力増強に貢献しました。

 その後、新玉川線が営団地下鉄(現・東京メトロ)半蔵門線と相互直通運転すると決まり、半蔵門線に合わせて8000系車両の仕様を変更する必要が生じます。これが8500系となりました。

 したがって、8500系の機能は8000系とほぼ同じです。おもな変更点は「編成中の電動車(モーターを搭載した車両)の割合を増やす」「地下鉄用の誘導無線アンテナを搭載する」「運転席を高くし、先頭車前面の行先表示幕の横に運行番号表示装置、列車種別表示装置を取り付ける」などです。

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最終更新:5/14(木) 6:39
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