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国税庁が「税優遇」新解釈示したJリーグ専務理事のスゴ腕。歴史的回答の全貌を解説する

5/20(水) 19:35配信

REAL SPORTS

これまで曖昧な部分も残っていた親会社に対する「税優遇」が、プロ野球にとどまらない共有財産となる。19日、Jリーグの村井満チェアマンと木村正明専務理事が理事会後の会見で報告した内容は、「Jリーグの会員クラブに対して支出した広告宣伝費等の税務上の取扱いについて」。クラブにスポンサー料等を支出した場合の税優遇はどうなるのか? その答えが国税庁から明確に提示された。Jクラブにとどまらず、スポーツ界全体にとって大きな収穫が生まれた背景を解き明かす。

(文=大島和人、写真=Getty Images)

プロ野球とJリーグが「同じ扱い」となった大きな意味

税理士のような専門家でなければ、普段は国税庁の公式ホームページを見にいったりしないだろう。しかしこの5月15日、サッカーファンにとってかなり気になる文章がそこに掲載された。

「Jリーグの会員クラブに対して支出した広告宣伝費等の税務上の取扱いについて」と題された木村正明Jリーグ専務理事による照会と、国税庁側の回答はインパクトのある内容だった。親会社がクラブにスポンサー料等を支出した場合、税優遇がどうなるか? そんな問いに答えが出て、しかも明文化された。

Jリーグ側が確認したのは、以下の3点だ。
(1)自己の子会社等であるクラブ運営会社に対して支出した広告宣伝費等の取扱い
(2)親会社がクラブ運営会社の欠損金を補てんした場合の取扱い
(3)親会社がクラブ運営会社に対して行う低利又は無利息による融資の取扱い

国税庁側は課税部審理室長名義で「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答し、照会内容を肯定している。

プロ野球は1954年に「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」と称する通達が出されており、親会社に対する税優遇が認められている。具体的にいえば、親会社が球団の赤字を補てんした場合、損金算入に限度のある寄付金ではなく、損金算入できる広告宣伝費として扱うことが認められてきた。

サッカー界は1993年に今の形でプロリーグを発足させたものの、野球とは明確な違いがあった。それはチーム名に企業名が入っていないことだ。例えば鹿島アントラーズでなく「メルカリ・アントラーズ」ならば、広告宣伝効果も明らかだ。しかし企業名が入っていないプロチームをどう扱えばいいのか、J発足のタイミングで新たな判断が必要となった。

水面下でJリーグ側と国税当局のやり取りが行われた。「ユニフォームの胸に企業のロゴを入れる」といった条件で、スポンサー料を損金計上の対象とする方向づけがされた。この経緯は川淵三郎初代チェアマンの著書『川淵三郎 虹を掴む』などで軽く触れられているが、プロ野球のような明文化はされていない。

また事後のスポンサー料、損失補填のような支出に関してはJリーグとプロ野球の扱いに差があるという定説があった。例えば年間の広告宣伝費を千億単位で支出するトヨタ自動車のような大企業が、Jクラブに20~30億円を出すレベルならば、損金算入を否認される恐れも持たれていなかっただろう。ただし三木谷浩史・楽天会長兼社長のように、プロ野球とJリーグの扱いに違いがあると説明した関係者が過去にはいた。そこについても今回の回答で、両競技は同じ扱いとの意味合いが記された。

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最終更新:5/20(水) 23:10
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