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コロナ疑いの高齢者、全員入院治療は正解か  ベルギーで介護施設の死者が半数を占める本当の理由

5/21(木) 10:32配信

47NEWS

 筆者の住むベルギーは、単位人口あたりの死者数が不名誉にも世界最悪となってしまった。その約半数が、老人ホームや老人介護施設などの高齢者と聞けば、いったい現場で何が起こっているのかと疑問を持つに違いない。医療崩壊どころか、高齢者たちが医療も受けられずに見捨てられ、バタバタと亡くなっているのか、と。(ジャーナリスト=佐々木田鶴)

 ▽死者数を過大評価するベルギー

 ベルギーの専門家委員会は、異様な勢いで増える高齢者施設での死者数を記者から追及され、次のように説明した。

 当初はPCR検査が実施できる件数も限られ、高齢者施設で亡くなる方々が陽性かどうか確定することは不可能だった。仮に感染が判明しても、直接の死因かどうかはほとんどの場合判定できない。こうしたケースを「COVID―19の疑いあり」としてより広い定義で集計に含めてきた。

 事態が落ち着いてから、過去の高齢者施設での例年同期平均死者数と照らした超過死亡数を見て調整するしかないという考えからだった。これこそがベルギーを世界最悪に見せた原因だった。

 ▽オランダは治療に年齢制限

 COVID―19が基礎疾患を持つ人が多い高齢者を直撃していることは間違いない。そんな中、「オランダ、高齢者に非情通告」という新聞の見出しが目に入った。医療崩壊させないために、集中治療室医組合が、救命治療対象基準を80歳以下(後に70歳以下に下方修正)としていたというのだ。

 オランダはベルギー同様、2000年代初めに安楽死が合法化され、死について論理的・現実的に考える国だ。だが、病床数など医療体制ではベルギーとはかなりの違いがある。今回の新型コロナ感染危機でも、イタリア、フランスと同様に、一時期は医療が飽和し、重篤患者をドイツに搬送して助けを求めていた。

 ベルギーでは、COVID―19患者による集中治療室の占有率はピーク時でも50%を若干超える程度で、隣国に頼らずに切り抜けてきた。それでも「年齢による線引き」をしていないという確信は持てなかった。

 そんなころ、友人と電話で話すと「83歳の母が入っている介護施設とのやりとりで追われている」という。友人の母親は最近、軽い認知症を発症したが元気に過ごしていた。ついのすみかと大いに気に入って入居した介護施設から一通の手紙が届いた。

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最終更新:5/21(木) 10:42
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