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「一番念頭に置いたのは”雑味をなくす”こと」村野佑太監督が語るアニメ「かくしごと」制作裏話

5/21(木) 18:07配信

ABEMA TIMES

 4月2日より好評放送中のアニメ「かくしごと」。同作は「月刊少年マガジン」(講談社)で連載中の久米田康治氏が手掛ける同名漫画が原作。娘に自分の職業を隠している漫画家・後藤可久士(CV:神谷浩史)と、彼の一人娘・後藤姫(CV:高橋李依)の日常を描いたハートフルコメディだ。

 何においても娘が最優先の”親バカ” 可久士と、父親想いの姫が織りなす物語は、単なる愛と笑いに溢れた日常だけではなく時にはシリアスな展開もあり「シリアスとギャグの緩急がすばらしい」「楽しさがしんみりとした余韻へ転ずる情感が本当に秀逸」などと、視聴者の心を掴んでいる。

 今回ABEMA TIMESでは、村野佑太監督にインタビューを実施。作品の魅力や、制作の裏話を語ってもらった。

「小学生の頃から久米田先生の漫画が大好き」監督目線に加わったファンとしての目線

――「かくしごと」の原作を初めて読んだ時の感想はいかがでしたか?また、原作の魅力をどのように映像に落とし込まれたのでしょうか?
村野:「久米田先生ってこんな漫画描かれるんだな」というのが率直な感想でした。「かってに改蔵」や「さよなら絶望先生」ではブラックコメディの印象が強かったので、「かくしごと」のような明るい空気感と親子愛が中心となっている物語に強く惹かれました。

視聴者が久米田康治作品と聞いてまず期待するのはいわゆる「絶望先生」的なシニカル要素だと思いますし、実際「かくしごと」にもそういう部分は含まれているのですが、最終的にはこの作品特有のほっとする日常感が印象として際立つように心がけています。

――アニメ放送後の反響や手応えはいかがでしたか?
村野:「いつもの久米田作品だと思ってたけど違った」「もっとシリアスな話だと思ってたけど蓋を開けたらいつもの久米田作品だった」という意見が入り混じっていると聞きました。双方の意見は食い違っているようでいて、実は制作サイドが一番求めていたバランスなんですね。なので素直に嬉しいです。久米田先生が1話をご覧になられて「自分はアニメ化に恵まれているなあ」とおっしゃってくださったらしいんですが、それを聞いた時は肩の荷がおりました。

――Twitterで、かくしごとの最新巻を読まれた際の気持ちを「作中に出てくる『アニメ化はリスクが大きすぎる!』『イメージが壊れる!』という久米田先生のネタが今世界で一番ドスンと効いているのは自分だと自信があります。」と呟いてらっしゃいました。監督は今回アニメ化にあたり、プレッシャーを感じてらっしゃったのでしょうか?
村野:監督という立場で作品を預かるのは毎回プレッシャーですし、原作つきだと特にそうです。まず第一に、自分自身小学生の頃から久米田先生の漫画が大好きなんですね。なので、監督目線と同時にいわゆる「面倒臭いファン」としての目線も加わるわけで…しょうもないものを作ってしまったらと考えた時の落胆度が激しいんですよ。

――今回アニメ化にあたり特にこだわった&大切にしたポイントと、難しかったところを教えてください。
村野:アニメ化にあたり一番念頭に置いたのは「雑味をなくす」ことです。久米田先生の漫画は立ち姿、顔の角度、表情や間の捉え方一つ一つに様式美が確立されているんですね。そこに演出家やアニメーターの解釈を加えていくと、途端に世界観のバランスが崩れてしまうことがあるんです。

アニメーターはまずキャラを描く際に、そのキャラが何をどう考えているかを理解してから描き始めますから、表情や動きに必然的に感情が出てしまいがちになります。ただ、この作品においては、姫ちゃんが何を考えているかわからないからこそ可久士が勘違いして物語が転がるのであって…理解し咀嚼しようとするのではなく、客観的に捉えてもらうバランス感は難しかったですね。

――アニメ化にあたり、 原作の久米田康治さんと話し合ったことで印象的だったことはありましたか?
村田:基本的には全てこちらにお任せしてくださる形でしたが、度が過ぎたブラックでキツいネタは今回は封印しているとのことで、そこは踏まえて欲しいと言われました。漫画を描いていて、つい思いついたえげつないネタは多々あれど、この作品の雰囲気には合わないのでそこは自制して描かれていると。そのネタを見てみたい気もしますが(笑)

アニメでも、映像がシニカルに尖り過ぎないよう、それこそ姫ちゃんくらいのお子さんが見ても問題ないテンポになるよう気を配っています。

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最終更新:5/21(木) 18:07
ABEMA TIMES

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