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「人間は地球のウイルス説」をいま持ち出すのは見当ちがい

5/23(土) 10:00配信

ギズモード・ジャパン

ウイルスのおかげで変わったなんて歴史は残したくないな…。

ネットのそこかしこで、新型コロナウイルスが実は良いものだったりしてという考えが広まっちゃっています。「自然が自己治癒を行なっている」とか、あるいは「人類に与えられた罰だ」みたいな感じで。

こんな考え方を支持する人たちは、野生生物が都市に戻ったり、大気汚染が減少したりしていることを盾にとって、「新型コロナによる悲劇が、これまで環境を壊してきた私たちの罪にふさわしい軌道修正だ」と指摘することでしょう。CNNですら「地球に優しい」 という言葉を使っています。

差別を内包した考え方では

ウイルスを良いもののように扱ったところで、真実から逃れることはできません。私たちは、コロラド州ボルダーのアパートで大手を振って歩くクーガーと同じように自然の一部です。本当の問題は、企業と政府が自然とのつながりを立ちきるために、ありとあらゆる手を尽くしてきたことです。新型コロナウイルスは、私たちがまだ自然とつながっていることを教えてくれています。もっと大切なのは、私たちは自然を健康な状態に戻すために多くを成し遂げなければならないということです。それができなければ、私たちはすべてを失うリスクを負うことになります。

新型コロナを応援する人たちは、なんらかのイデオロギーに手を染めていて、人間を「浄化しなければならない病気」と捉えるエコファシスト的な考えを持っているようにみえます。この考え方は、被害の分布が平等ではなく有色人種のコミュニティーで圧倒的に死者が多くなっているという点を無視しています。伝統的な人種差別や階級差別を内包していますよね。

「自然は国立公園かどこかに存在していて、有害なスモッグに覆われた都市からは隔離されている」といった見方に似た、根っからのリベラル的な考えが見え隠れしています。

自然とのつながりを断ち切る嘘

私たちが「自分たちが自然から切り離されている」という神話を信じるのは、化石燃料企業が何十年も前から主張してきた嘘を受け入れることです。化石燃料産業のビジネスモデルは、空を炭素のゴミ箱にして生物圏に影響を与えていることを人々に無視するよう仕向けて、十分すぎるほど裕福なひと握りの人々をさらに豊かにするためにあります。

気候変動の否定は、「行動を起こさなくても自然界に影響はない」という嘘をつき通すための最も簡単な手段といえます。気候変動の全面的な否定がますます不公正と考えられるようになるにつれ、産業界とその同調者たちは約束を延期したり、偽りの約束をしたり、排出削減のためのコストをどうするつもりなのかと尋ねたり、現状維持の必然性を主張したりする始末です。いずれの主張も、私たちを少しでも自然から遠ざけようとしているという点で共通しています。

使い捨てプラスチックや新しいスマートフォンを製造する企業、ファストファッション業界や、パーム油関連企業をはじめ、ほとんどすべての産業が同じ「神話」を利用して製品を販売しています。近代的なものとそれを推し進めようとする主張は、私たちを自然界から切り離すことで、企業収益の増加とエンドレスな経済成長のサイクルを継続させようとしています。

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最終更新:5/23(土) 10:00
ギズモード・ジャパン

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