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助っ人は旅館の従業員

5/23(土) 7:38配信

山形新聞

 新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける天童温泉の旅館従業員が、人手不足に悩む天童市内の果樹園で助っ人として働き始めた。彼らが収穫するサクランボは同市のふるさと納税特別返礼品「おもてなしの笑顔が咲くらんぼ」としてリストアップ。逆境を契機に果樹園と旅館のほか、旅行商品の企画販売を行うDMC天童温泉や行政も連携し、“コロナ時代”を生きる地域産業に示唆を与える。

 天童温泉の各旅館は休業を余儀なくされ、従業員は自宅待機が続く。一方のサクランボ農家は収穫期の慢性的な人手不足に加え、現状では県外からのアルバイト確保も見込めない。農業生産法人「やまがたさくらんぼファーム」(同市、矢萩美智社長)では観光果樹園のオープンを見送り、今季は通信販売のみと決めたものの、収穫には新たな労働力が必要となる。

 「目的は互いの雇用の維持。この仕組みがうまくいけば、どこでも抱える労働力問題の参考になるかもしれない」。矢萩社長が以前から思案していた連携構想をDMC天童温泉(山口敦史社長)や旅館と具体化させ、市も一端に協力した。

 「天童アライアンス+ON(プラスオン)」と名付けた枠組みが今月18日から、テストケースとして始動した。副業を認めた旅館側の提案を受け、希望した調理師や接客担当者、実習生らの従業員5人が、観光業界の需要が回復するまでの期間、同ファームの一員となった。

 従業員らはいずれも先行きの見えない日々を過ごしていたといい、安達智規さん(50)=寒河江市ほなみ=は「家の中で掃除、洗濯を繰り返し、日ごと不安になった。外で体を動かして人手になるのはいい」と語り、梅津広一さん(49)=東根市長瀞=は「この経験も本来の仕事に役立てられそう。少しでも力になれれば」と汗を流す。

 来館客をもてなしてきた旅館の従業員たち。収穫するサクランボが返礼品となる市のふるさと納税は、18日から寄付受け付けが始まった。新関晴久さん(59)=山形市五十鈴=は「泊まりに来てくれた人たちへの心遣いを今度はサクランボに込め、喜んでもらえるように作業に当たりたい」と意欲的に語っていた。

最終更新:5/23(土) 7:38
山形新聞

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