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ライゾマティクス真鍋大度とMUTEK竹川潤一が見せる、“アグレッシブなSTAY HOME”

5/23(土) 20:30配信

ギズモード・ジャパン

今だからできること。これから目指すこと。

新型コロナウイルスが猛威を振るい、全国的に外出自粛状態となっているこの約1カ月の間にも、数々のクリエイターやアーティスト、企業や個人が、新しい創作や活動の場を生み出し続けています。

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日本のテクノロジーやメディアアートを牽引し続けるライゾマティクス代表の齋藤精一さん、真鍋大度さんが、緊急事態宣言前の4月3日(金)から始めたオンラインイベント「Staying TOKYO」もそのひとつ。

そして、国際的な文化芸術イベント/組織である「MUTEK」も、「“MUTEK.SF: NEXUS Experience” Festival」を、日本時間の5月24日(日)、25日(月)のそれぞれ8:00-16:00に、オンラインで開催する予定です。

真鍋大度さんとMUTEK.JPの竹川潤一さんは普段から交流のある仲。お二人にそれぞれの取り組みと現状に対する課題、未来への展望を、オンラインで聞きました。

「Staying TOKYO」からムロツヨシさんとのコラボまで。真鍋大度さんの「STAY HOME」

──ライゾマティクスで行っているオンラインイベント「Staying TOKYO」について教えてください。

真鍋:外出自粛要請がなされる前の段階で「家にいなければいけないなら、家からできるやり方で発信しよう」と、僕とライゾマ齋藤の二人で相談し、始めたイベントです。具体的には、僕らが普段やっている「Flying Tokyo」という、親交のある国内外のアーティストを招いたトークと音楽を組み合わせたイベントを、ストリーミング環境に乗せるかたちで開催しています。その中でも、「Staying TOKYO」では、イベントをやるごとに何かしら新しいことをするべく毎回実験を行っています。

──具体的には、どのような実験を行っているのでしょうか?

真鍋:僕らが普段使っている、ローカルエリアネットワーク内で音響機器や映像機器をコントロールするプロトコル「OSC」を、ワイドエリアネットワークを超えても使える環境を作って、照明や音響をリモートコントロールできるようにしました。

もう少し詳しく説明するとp2p-like-communicatorというツールを開発して、OSCのメッセージをsocket.io(編注:リアルタイムWebアプリ用のJavaScriptライブラリ) を用いて、ワイドエリアネットワークを超えた相手とやりとりできるようにしたことで、離れていてもいつもと同じ感覚でコラボができます。サーバーサイドはnode.js(編注:サーバーで動作するJavaScript環境)でsocket.ioサーバーを構築し、クライアントサイドはOSCメッセージとsocket.ioで扱えるパケットへの変換を行ったうえで、サーバーとの通信を行うnode.js + electron(編注:HTML、CSS、JavaScriptなどのWeb技術でデスクトップアプリケーションを開発できる仕組み)で構築されたアプリケーションを間に挟むことで、さまざまなOSCに対応したアプリケーション間での通信を可能としています。

僕が普段関わっているようなライブの現場は、照明や舞台美術、特殊効果など、さまざまなスキルを持った人たちがいる大きなチームで作っているのですが、現状のオンラインライブでは、そういう人たちがごっそりと抜け落ちてしまう課題があります。そこで、彼らがリモートで参加して仕事できるようなものをやれたらいいなと考えて開発を行い、照明やロボ、カメラのスイッチャーをコントロールする実験を「Staying TOKYO」で行っていました。

また、「Staying TOKYO」での取り組みとは別に、先日の非同期テック部第1回作品「ムロツヨシショー、そこへ、着信、からの」でも、ムロツヨシさんの自宅に置いてあるiPad、iPhone、TV、照明をリモートでリアルタイムでコントロールする実験を行いました。ヨーロッパ企画の上田誠さんによる脚本・演出だったのですが、テックとストーリーがうまく絡み合って面白いインスタライブショーになったと思います。ライブ時には6.5万人を超える人が見てくれていました。

──緊急事態宣言以前からオンラインイベントを始められていましたが、早い段階からバーチャルフェス的なものが求められることになりそうだと予感されていたのでしょうか?

竹川:3月下旬に、僕から大度くんに「バーチャルでMUTEKを開催したい」と相談したときには、すでに「考えていることがある」と言っていたし、本当に早く動き始めていた印象でしたね。

真鍋:3月6日に『サウス・バイ・サウス・ウェスト(以下、SXSW)』の開催中止が発表された時点で、多くの人たちが動き始めていました。今年はLAの映像プロダクションに声をかけてもらって『コーチェラ』のステージ演出をヘルプする予定になっていたこともあったので、早めのアクションが求められていたのですが、「予定通りの開催はできないかもしれないから、何か解決策を探そう」ということで、関係者と議論していました。

──SXSWの中止がひとつの大きなきっかけだったのですね。

真鍋:やはりSXSW中止の影響は大きかったと思います。僕のLAの仕事のパートナーである「Tool of North America」のDanから『Uncancelled』というオンラインイベントの映像演出の依頼を頼まれたのですが、メールの日付を見てみると3月7日となっており、その時には既にオンラインフェスの企画が次々と立ち上がっていましたね。

彼らはどうやったら音楽業界に貢献できるか、その意思だけで動いていた気がします。最初は僕もそうしたイベントに対して、お手伝いできることをやろうと思っていくつかプロトタイプを送ったりしていたのですが、目まぐるしく状況が変化していくのでうまく立ち上がらないイベントも多く、結果的に自主プロジェクトか、もう少し先を見据えたものが中心となっています。

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最終更新:5/24(日) 1:41
ギズモード・ジャパン

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