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「脳性まひの親友に装具作りたい」 20年越しの思い胸に 義肢装具士・山代円さん

5/23(土) 16:07配信

熊本日日新聞

 熊本市中央区の「徳田義肢製作所」で働く山代円さん(28)は、義肢装具士になって7年。「いつか親友に装具を作ってあげたい」。小学1年生の時、脳性まひのクラスメートに出会ったのが、この職に就いたきっかけだ。

 同製作所の義肢装具士は22人。山代さんは担当する病院に毎日出向き、患者や医師から症状や希望する装具、生活様式などを丁寧に聞き取る。石こうギプスで取った型を持ち帰り、制作に取り掛かる。「症状や必要な装具は一人一人違う。全てオーダーメードだから、患者さんとしっかり会話するようにしています」。ベルトの色をカラフルにするなど、前向きに使ってもらう工夫もしている。

 別府市生まれ。小学校の同級生に、脳性まひで左足に装具を着けた「紫帆[しほ]ちゃん」がいた。「最初はどう接していいか分からなかったけど、すぐに仲良くなりました」と山代さん。みんなで生活を支えたが、何キロも歩く遠足では足と装具が擦れてけがをし、途中で歩けなくなっていた。「それを見て、装具を作ってあげたいと思うようになった」と振り返る。

 中学生の時に義肢装具士という職業を知り、義肢装具学科のある熊本総合医療リハビリテーション学院(熊本市東区)に資料請求。高校2年の時にオープンスクールに参加し、「人の役に立ちたい」という気持ちがより強くなったという。同学院で3年間学び、卒業後は大分市の義肢製作所に就職。昨年、結婚を機に退職し、義肢装具士の夫が勤める現在の職場に転職した。

 病気やけが、障がい…。装具が必要な理由や装着する体の部位は、さまざまだ。作り替えやアフターケアで長く付き合う人もいれば、制作中に亡くなる人もいるという。

 悪性腫瘍で足を切断した女性は「中学生の息子の運動会に行きたい」と願い、山代さんは装具の制作を急いだが間に合わなかった。また、子どもの装具はその後の成長や人生を左右することもあり、山代さんは「責任重大」と気を引き締める。「装具を着けることでその人の生活の質が向上し、社会復帰を後押しすることにもつながる。とてもやりがいのある仕事です」

 大分で暮らす紫帆ちゃんは、今も親友だ。山代さんは現在の職場に移って親友の装具が作れる環境が整ったといい、「『いつか熊本に制作依頼に行くからね』と言ってくれてます」とうれしそうに話す。20年越しの思いが、やっと実を結びそうだ。(西山美香)

最終更新:5/23(土) 16:07
熊本日日新聞

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