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岐路に立つハイリスク投資 孫氏「未曽有の危機」 ソフトバンクG〔深層探訪〕

5/23(土) 8:26配信

時事通信

 ソフトバンクグループ(SBG)が創業以来最大の赤字を計上した。携帯電話事業での成功を足掛かりに、AI(人工知能)分野への積極投資で一段の成長を目指したが、昨年秋に出資先の経営危機が表面化。新型コロナウイルスの影響で投資先企業の評価額も急落しており、損失はさらに拡大する可能性がある。成長を見込んで新興企業に投資し、事業を急拡大させてきた孫正義会長兼社長の戦略が岐路に立たされている。

 ◇どんどん落馬
 「コロナ(ショック)の谷にユニコーン(新興企業)がどんどん落馬している。未曽有の危機だ」。孫氏は出資先企業の現状をこう表現した。SBG傘下の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が資金を投じた88社のうち、半数以上の47社が投資当初より企業価値が低下。孫氏は「15社ぐらいは倒産する」との見方を示した。

 孫氏は中国電子商取引大手、阿里巴巴(アリババ)集団に創業間もない時期に出資し、成功を収めた。SBGが保有するアリババ株の価値は約15兆円まで拡大。潤沢な資産を武器に「投資会社」路線にかじを切り、2017年にサウジアラビアの政府系ファンドと10兆円規模でSVFを設立。わずか2年間で8兆8000億円を投資した。

 ◇資金集め難航
 孫氏が進める「ハイスピードなハイリスク投資」(市場関係者)。19年3月期決算は出資先の評価額が膨らみ、SBGが3年連続で純利益1兆円を達成する原動力となった。

 変調が出始めたのは昨年秋。出資先企業の一つ、共有オフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーの経営危機問題が浮上した。17年以降、1兆円以上を投じていたが、創業者の乱脈経営が発覚して上場計画が頓挫。SBGはさらに約1兆円の金融支援に追い込まれた。

 今年に入り、新型コロナによる世界経済の落ち込みが重なる。再建を目指すウィーワークでは、オフィス需要が減退するなど事業環境が悪化。同じく出資先のインドのホテル運営大手OYO(オヨ)なども各国の移動制限の影響が懸念される。

 SBGのファンドに資金を供給するサウジの投資家などからは、孫氏の投資判断に対して不安が強まり、新しいファンドの資金集めも難航しているという。巨額の資金を動かし、「AI革命の指揮者」を目指してきた孫氏。逆風のコロナ禍の中でその手腕が試されている。

 ◇ソフトバンクグループの主な投資先の状況
▽ウーバー・テクノロジーズ(米配車サービス)
 新型コロナウイルスの影響で主力の配車サービスの利用減少
▽ウィーワーク(米シェアオフィス)
 約1兆円の金融支援も新型コロナでオフィス需要が減少
▽OYO(オヨ)(インド・ホテルチェーン)
 新型コロナの影響で宿泊客が減少
▽ワンウェブ(英衛星通信企業)
 3月下旬に米裁判所に破産申請
▽グラブ(シンガポール・配車サービス)
 新型コロナの影響で主力の配車サービスの利用減少

最終更新:5/23(土) 8:35
時事通信

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