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蔡総統、順風の折り返し 対中関係改善、なお重要課題 台湾〔深層探訪〕

5/23(土) 8:31配信

時事通信

 台湾の蔡英文総統が20日、2期目をスタートさせた。民進党・蔡政権は、独自の徹底した新型コロナウイルス対策で感染拡大を封じ込め、台湾を「全世界から注目される存在」(蔡氏)に引き上げた。支持率は高止まりし、順風の中での折り返しとなるが、悪化が続く中国との関係改善など課題は山積している。
◇支持率60%超
 大手テレビ局TVBSが今月中旬に実施した最新の世論調査によると、蔡氏の支持率は61%と、2016年5月の就任以来で最高を更新した。18年11月の統一地方選で、民進党が大敗した直後は15%まで落ち込んだが、奇跡的な復活を遂げた。調査では政府の新型コロナ対策に「満足」と答えた人が91%に達し、支持率を押し上げた。

 20日の就任演説では、新型コロナや米中貿易摩擦などでめまぐるしく変化する世界情勢を念頭に、台湾経済の振興に取り組む意欲を強調した。ただ、蔡氏の高い支持率維持のカギを握る対中関係については、歯切れの良さは感じられなかった。
◇にじむ中国への配慮
 新型コロナ対策で勢いに乗る蔡氏にとって台湾統一をもくろむ中国との関係構築は、最大の懸案事項となる。

 演説で、中国が打ち出す「一国二制度」による中台統一方針を「受け入れない」と重ねて拒絶。一方で、「一つの中国」原則を受け入れない立場や、総統選勝利の原動力となった香港問題には言及せず、中国への配慮をにじませた。

 中国が台湾周辺で軍事活動を活発化させたり、台湾が求めていた世界保健機関(WHO)年次総会へのオブザーバー参加に反対したりしたことへの批判も見送った。

 前出の世論調査では、蔡氏の対中強硬路線に過半数の支持が示されたものの、経済界を中心に関係改善を求める声は根強い。このため、演説では「対岸(中国)との対話再開を通じ、地域の安全のために具体的な貢献がしたい」と中国の習近平政権に呼び掛けた。ただ、双方の隔たりは大きく、24年5月までの任期内に対話が実現するかどうかはなお不透明な情勢だ。
◇「米国一辺倒」に危うさ
 1期目の蔡政権は、対中強硬路線の米トランプ政権に接近し、蜜月関係を築いた。ポンペオ国務長官はツイッターの投稿で、蔡氏の2期目就任を祝賀した上で、「蔡総統のかじ取りにより、台湾との関係は発展を続けるだろう」と、さらなる関係強化に期待を示した。

 ただ、トランプ大統領は11月に大統領選を控えており、「米国一辺倒」とも言える外交政策は危うさをはらんでいる。中国の包囲網で15カ国に減った外交関係国のつなぎ留めも容易ではなく、苦闘が続く見通しだ。

 蔡氏は20日、約1年半ぶりに民進党主席(党首)に復帰した。政権のかじ取りとともに、4年後を見据えた後継者育成も重要課題となる。(台北時事)

最終更新:5/23(土) 8:38
時事通信

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