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「紀州のドン・ファン」死亡から2年 真相なお不明

5/23(土) 10:00配信

産経新聞

 多くの女性と交際し、欧州の伝説の放蕩(ほうとう)児になぞらえて「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さんが77歳で急死してから、24日で2年を迎える。死因は急性覚醒剤中毒と判明し、県警の捜査が続けられているが、いまだに真相が明らかになっていない。少なくとも約13億円に上る遺産は遺言通り市に寄付されたが、手続き費用だけで2億円近い予算が必要となっている。

■覚醒剤はどこから

 野崎さんは平成30年5月24日夜、自宅2階で意識を失っているのを家族が見つけ、死亡が確認された。死因は急性覚醒剤中毒だった。死亡から2年を迎えるが、事件なのか事故なのか、あるいは自殺なのか糸口が見えてこない。捜査関係者の一人は「『捜査が難航している』などと県警幹部は誰も言っていない。現在も事故と事件の両面から調べている」と語る。

 覚醒剤はどこで野崎さんの体内に入ったのか。県警は野崎さんの自宅や会社からビールの空き瓶を押収している。捜査関係者によると、死亡直前にビールを飲んでいたと家族が証言していることから、ビールに覚醒剤が混入していなかったかどうか慎重に鑑定を進めているという。

 野崎さんの謎の死は、テレビのワイドショーが連日、大々的に伝え、自宅周辺は報道陣でごった返した。だが、2年が経過した現在、行き交う人は少なく、ひっそりとしている。

 「一時、(この辺りは)マスコミがすごかった。ヘリコプターが何台も飛んでいたことがあったが、最近はたまに来るぐらいで、静か。そのほうがありがたい」

 死亡2年を間近に控えた今年5月下旬、野崎さんの自宅そばに住む男性(69)は淡々と振り返った。

■額確定にはなお時間

 野崎さんは全財産を市に寄付する内容の遺言を残していた。市は平成30年9月、和歌山家裁田辺支部から遺言書の存在を伝えられ、昨年10月に支部に相続が承認された。遺産は少なくとも約13億円で、遺言書の日付は死亡する5年前の平成25年2月8日だった。

 ただ、多額の遺産は寄付を受ける受領手続きだけで2億円近い予算が必要になり、遺産額の確定までなお時間がかかる。

 市は2回にわたり、弁護士委託料などの手続き費用を予算案に組み込み、昨年9月と今年3月の市議会で可決された。内訳は弁護士委託料のほか、弁護士相談料、不動産の鑑定手数料など多岐にわたり、手続きだけで費用は計約1億8238万円に及んだ。

 予算は成立したが、遺産額確定などに向けた手続きは始まったばかりだ。遺産には評価額が確定していない土地約8660平方メートルと建物36棟が含まれるほか、野崎さんが貸金業を営んでいたことから、返還されていない債権が約1億8千万円ある。さらに、貸した人から利息をとりすぎた過払い債務が約1億4千万円あり、一人一人に返還していく方針。土地・建物は県内外にあるが、市幹部は「古い建物が多く、何億円というような額にはならないだろう」と話す。

 今春以降、新型コロナウイルスが猛威をふるい、一連の作業に遅れが生じており、いつ遺産額が確定するかについて市の担当者は「答えようがないが、今年度中にめどをつけたい」と説明する。

 ただし民法上、野崎さんの妻が遺産の半分を受け取れるため、市は遺産額確定後、分割のために妻と協議を行うとしている。 

最終更新:5/25(月) 18:58
産経新聞

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