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【サクラエビショック、その後】迫る台湾産、それでも… 地元産にこだわり廃業 腹くくった5代目

5/23(土) 10:06配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

「おれは駿河湾産しか売らないよ。静岡でとれるサクラエビが一番うまいって知っているから」

 昨年秋、静岡市清水区で5代続いたサクラエビ加工業者が店を閉めた。販売するエビが底をついたためだった。2年前、記録的な不漁に陥った静岡県の名物「駿河湾産サクラエビ」。以降、価格が高騰し、代わりに台湾産の存在感が増している。最も信頼していた取引先から「安価な台湾産がほしい」「おたくが扱わないならほかの業者に頼む」と言われ「もはやこれまで」と腹をくくった。「駿河湾で育まれたサクラエビは生ならぷりぷりで甘く、干せばただ香ばしい。エビの味しかしないんだよ」

 1970年の大阪万博で、父は「静岡代表だ」と勇んでサクラエビを売りに出した。「当時は全然売れなかったけどね」。海にほど近い自宅の居間で、大石一芳さん(73)は先代たちの写真や肖像画を時々眺めながら思い出を語り、「皆には申し訳ないなと思う」と声を詰まらせた。

■不漁…代わりに増した台湾産の存在感

 静岡での台湾産の加工は1980年代、それまで90年近く培ってきた技術を生かす形で始まったという。2000年を越えると駿河湾産の年間の水揚げの規模は半減し、代わりに台湾産の存在感は増していった。

 この不漁のタイミングで、台湾産にいちはやくシフトしていた業者が、駿河湾産に次々と高値を付けた。「品質を見て値段を決めている風ではなかった。駿河湾産との価格差を作るという思惑があったのでは」(大石さん)。19年の春以降、駿河湾産は過去最高値を更新し、台湾産との価格差は拡大した。

 静岡県内のスーパーでも並べて売られるようになった台湾産は、駿河湾産の倍の量入って値段は半額と、消費者には魅力的に映る。大手スーパーではこの半年、冷凍サクラエビだと年末を中心に駿河湾産がよく売れているものの、次の漁期に入る前に在庫が切れると台湾産が大きく売上を伸ばす現象が起きている。地元の消費者の心理として「駿河湾産があれば優先して買いたいという需要がある一方で、台湾産への抵抗感はさほどなくなってきているようにも 感じる」(バイヤ-)という。

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最終更新:5/23(土) 12:00
@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

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